たてがみに傷
みんな陰でこそこそ言ってるの知ってるよ。味方になっても明日には敵。信じてもほら、裏切られちゃう。僕っていっつもこんな風に踏みつけにされる。これっていっそ味方とか綺麗さっぱりいなくなったほうがいいんだけれど、1人ぼっちはやっぱり辛くて悲しくて寂しくて、泣きたくなって、結局は縋ってしまうんだ。でもほらまた、おなじ負の永久機関。僕は傷ついてもそれを癒す時間なんて国民のためすぐに消えてしまう。逃げたくっても逃げられない。だから受け入れるしかないんだ。
「まあ、そういう風になるんだなって割り切ってるから、それは仕方無いと分かってるんだ。だから、せめて最期くらいは、誰かを喜ばせたいんだ」
ベラルーシから借りたポケットナイフ。切り味は抜群。見て、今親指と刃がすれ違っただけで親指の薄皮が破けて血が出てる。
「だから、僕の最期は中国くんの傍でって」
「・・・それは・・・なんで、どういう意味あるか」
中国くんの目玉がこっちを睨む。意味は通じてるのかな?
さあ最期の仕事。ほらいつもみたいに怖がらせちゃダメだよ僕。
「僕が死んだらさ、中国くんは絶対喜ぶでしょ?」