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同調率99%の少女(7) - 鎮守府Aの物語

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 提督は阿賀奈にひと通り説明をした。ところどころで元気よくはい!・うんうん!と頷く彼女だったが、絶対理解できてないというのが誰の目にもはっきり見えた。提督もかなり噛み砕いて優しい言葉で説明するも、ここまで理解の悪い人への説明には手を焼いている様子を見せる。
 その様子を見た五月雨と那美恵は密やかに声をかける。なぜか五月雨は口をひくつかせて笑いを堪えている。

「提督、あの……フフッ……大丈夫ですか?もっと説明をどうですk……プフッ」
「うーん、説明下手なのかもしれないな。俺自信なくすわ。……ってなぜに君は笑いを堪えてるんだ?」

 誰かから少しでもツッコまれるとおもいっきり吹き出してしまいそうなので、五月雨はソファーの背もたれ側を向いて提督に寄りかかり、顔を自身の腕と提督の腕の間に隠す。笑いに耐えながら彼女が小声で弱々しくひねり出したセリフが、あの先生の反応がいちいち面白い、というものであった。つまるところ四ツ原阿賀奈の一挙一動は五月雨の笑いのツボに入ってしまったのである。
 そんなツボに入って過呼吸気味の五月雨を見て那美恵はまたしても妙な感覚を覚えて萌えかけたがここは校長もいる真面目な場、自分まで砕けてしまうのはダメだと思い、五月雨のことは無視して提督に真面目に助言する。

「ねぇ提督。あたしから説明し直すよ?それでも無理そうだったら、艦娘部宣伝のために作った展示を見せに行くからさ。」
 提督は視線だけでOKを那美恵に送って彼女に後を任せることにした。なお、五月雨はまだツボに入っており、提督の腕に顔を隠してプルプルと肩を揺らしている。提督と那美恵は五月雨のことは放っておくことにした。

「先生、あのですね。少し誤解を招くかもしれませんけど、一言で言うとあたしたち、戦争に行くんです。戦争といっても戦うのは人じゃなくて、化け物相手ですけど。」
「え……戦争?誰と?なんで?」
「深海凄艦という、海の化け物です。」
「しんかいせーかん?」
 このまま何も見せずに説明してもダメだと那美恵はすぐに悟り、仕方なくその場での説明を途中で止めることにした。那美恵は提督に隣接している方の手の指で提督のふとももを軽くつつき、目をつぶって何も言わずに頭を横に振る。提督はそれを見て、さすがの那美恵も諦めたかと把握した。

「えーと、四ツ原先生。多分実際の映像や写真を見ていただいたほうがわかりやすいと思うので見てもらえますか? あたしたち、艦娘部の部員集めのために展示作ったんです。ぜひ顧問の四ツ原先生に目で見てわかってもらたらなと。」
「えぇ。わかったわぁ。じゃあ先生その展示しっかり見てあげる! 任せて!それ見てしょくぎょーかんむすになればいいんでしょ?」
「……はい。おねがいします。」

 そのまま展示のある視聴覚室へと行こうと思ったが、さすがに次の授業からは出ないとまずいと判断し、提督らと阿賀奈、そして校長たちにその旨話して、続きは1時間半後の放課後に行うことにした。

「提督、ゴメンね。四ツ原先生へはあたしやみっちゃんたちから説明してなんとか理解してもらうから。あと提督たちもぜひ展示見ていって!」
「あぁ。俺もその展示行って宣伝に手伝えばいいんだろ?」
「うん。お願い。」
「私もお手伝いします!」
「うん。五月雨ちゃんもよろしくね!あなたがいれば色々い〜宣伝になるかもしれないし。」

 那美恵は不穏な含みを持たせてしゃべったが五月雨はそれに気づくべくもなく、コクリと頷いて那美恵に微笑んだ。自身が授業に出ている間、提督らをどうしようと気にかける那美恵だが、それについては教頭が解決策を提示した。

「光主さんが授業に行ってる間は……そうですね。四ツ原先生、西脇さんと早川さんお二人に校内を案内してあげてください。」
「はい!私本日は担当ありませんので、提督さんの案内、やらせていただきます!!」

 案内くらいなら問題ないだろうと那美恵は判断し、提督と五月雨を阿賀奈に任せ、授業へと戻っていった。