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同調率99%の少女(7) - 鎮守府Aの物語

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--- 6 展示開始



 那美恵が提督らと一旦別れて1時間半後、チャイムが鳴り放課後が訪れた。阿賀奈に校内を案内された提督と五月雨はほぼ問題なく一連の見学を終えて、一旦来客用の部屋に案内されて一息ついていた。
 那美恵と三千花は教室を出て廊下の途中で話しだす。那美恵は三千花に提携の締結の時の様子を話して情報共有する。大体の内容は問題無いとふむ三千花だったが、厄介そうな問題に頭を今から抱えた。もちろん、艦娘部顧問の四ツ原先生である。

 二人は職員室へ向かって歩きながら会話する。
「なるほどね、多分というかほぼ確実に理解してもらえなかったと。そういうこと?」
「うん。そーそー。まさかあそこまでとはあたしも思わなくてさー。五月雨ちゃんなんかどうもツボに入ったのか、笑いこらえるのに必死で見てるこっちまで辛かったもん。……めっちゃ可愛かったけど。」
 五月雨が可愛いのは当然と納得し、思考はすぐに当面の問題に切り替わる。この後の展示の開始と、艦娘部顧問の阿賀奈へ理解させることだ。

「今日は初日だし、ともかく展示を好スタートさせるのを優先しない?あの先生に教えるのも大事だけどさぁ。」
 三千花は那美恵に提案する。
「そうだねー。けどあまり先送りにもできない問題だと思うんだよねぇ。四ツ原先生のことも。だからあたし考えたの。先生には、他の生徒と同じ立場で展示をひとまず見学してもらうの。」
「全く同じ立場?」
「うん。だから先生が川内の艤装で同調試したいっていえばやらせてあげるし。多分あの先生さ、口でどこまで説明しても理解してもらえないと思う。あの人自身の目や耳で実際に経験してもらわないと。ダメなんだろうって気がしてきた。実感が沸かないから、理解が及ばなくてポカーンとする確率が他の人より高いだろうなぁ。」

 さすが親友は観察力がある、と三千花は感心した。今すぐにではないだろうがそう時間かからずに、四ツ原先生を手懐けられるのではとも。


--

 那美恵たちが職員室へ行くと、提督らは来客用の部屋にいると言われたので次はその部屋に向かった。部屋に入ると、笑い声が。提督と五月雨のほか阿賀奈がいる。笑い声は主に五月雨のものだった。

「あ、光主さん、中村さん!聞いて聞いて!早川さんったらね、私のジョーク全てに笑ってくれるんだよ!も〜この娘いい子すぎて可愛い〜。うちの末の妹みたい!お持ち帰りしたいよぉ〜!」

 一方の提督は疲れた、という表情を那美恵と三千花だけにチラリと見せた。それだけで那美恵はこの1時間半の提督の苦労がかいま見えた気がして提督に同情せざるを得なかった。黙ってその表情を見せてきた提督を、那美恵と三千花はちょっとだけ可愛いと密かに感じた。

「提督と五月雨ちゃんと打ち解けられたようで何よりですよ〜先生! じゃあその調子で展示も見ていただけますか?」
「うん!任せて!」
 那美恵がうまく間を取りなしたことで、提督と五月雨は阿賀奈から解放された。一行は那美恵と三千花の案内で、視聴覚室に行くことにした。

 廊下にて。提督が那美恵の肩をつついて彼女を振り向かせる。
「光主さん、うまいこと空気変えてくれて助かったよ。あの先生、結構話すのが好きな方なんだね。まーよくしゃべるしゃべる。そして五月雨に絡む絡む。」
「アハハ。あたしもあの先生のことまだよくわかってないから、お互い色々とがんばろーね。」
 最後に肘で提督の横っ腹をつついて締めた。

 一方で二人の後ろでは、阿賀奈にまた捕まった五月雨が彼女の一言一句にキャッキャと笑い、それをとなりで三千花がヒヤヒヤしながら見ている光景があった。
「五月雨ちゃん、表情筋壊れたりしないかなぁ?」
 どうでもいいことを心配する那美恵であった。