二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

同調率99%の少女(7) - 鎮守府Aの物語

INDEX|17ページ/22ページ|

次のページ前のページ
 


--

 視聴覚室に着くと、すでに書記の二人がいて部屋を開けて待っていた。
「お、二人とももう来てるね。よしよし。」
「会長。と、西脇提督。こんにちはっす。五月雨ちゃんもこんにちは。」
「西脇さん、五月雨さん、ご無沙汰しています。」
 三戸と和子は二人に挨拶をした。それに提督たちも返事をする。
「はい。こんにちは。今日はよろしく頼むよ。」
「こんにちは!うわぁ、展示すごいですね〜」


 提督ら二人に続いて最後に阿賀奈が視聴覚室に入ってきた。
「お〜これが艦娘の展示?みんなよく調べたね〜すごいすごい!先生感心しちゃう。」
 阿賀奈も展示に素直に驚いている。

 那美恵と三千花は書記の二人と集まり、展示の手順の最終確認をする。それから阿賀奈のことを話す。
「……ということだから、いい?二人とも。」
「了解っす。」
「わかりました。」

 そして那美恵は阿賀奈を呼んだ。阿賀奈は軽快な足取りで那美恵たちのほうに近づいていく。
「先生、ちょっとよいですか。」
「はい。なぁに?なんでも言ってごらんなさ〜い。」

 那美恵の考えでは、阿賀奈には一般生徒と同じ立場で今日は展示を見てもらう。良くも悪くも阿賀奈には艦娘に関する知識がなさすぎた。知識ゼロから見てもらい自分で理解してもらうしかないとふんでのことだ。先生という立場を強く意識しすぎてる彼女を傷つけないよう、それをオブラートに包んで那美恵は伝えた。

「先生、さきほどもご説明しましたけど、先生にはあたしたちの作ったものを評価していただきたいんです。」
「作ったもの?あー、この展示だよね?」
「はいそうです。いきなり数分で艦娘の何たるか言われたってさすがの先生でも実感沸かないかなとあたしたち反省したんです。あたしも艦娘になる前に鎮守府で説明受けた時、ちんぷんかんぷんでしたから。先生のお気持ちわかるんです。いかがです?」
「う〜〜ん。そう言われると、そうかなぁ。先生としたことが、あなたたちのこと理解しようとして焦ってたから実はさっきの説明、よくわかんなかったの。でも安心して!あなた達の展示見て今度はしっかりお勉強するわ!」

「そう言っていただけると助かります〜。まずは展示をご覧になって頂いてそれから後日先生にはお手すきのときにあたしか、もし都合がつけば鎮守府に案内しますので提督から改めて話をしてもらいますので、確認していただければと。」
「うん。わかったわ!じゃあ先生は何すればいいの?」
「はい。まずは展示をご覧になって頂くだけで結構です。部員が集まるまでか視聴覚室が借りられる間はこの展示し続けるので、いつ見に来て頂いても結構です。」
「それだけでいいのね!まっかせなさーい!」

 阿賀奈がだんだん那美恵に懐柔されてきた、その場にいた阿賀奈以外全員がそう感じ取るのは容易かった。その後阿賀奈は那美恵から、その日は自分の側にいて見守っているだけでいいと言われおとなしく那美恵に従っていた。
 これで那美恵たちは、展示の紹介・案内に際して自分たちのペースを守れる確証を得た。


--

 放課後30分過ぎた。視聴覚室の外に出て出入口のところでは書記の二人が呼び込みをしている。視聴覚室の中では那美恵と三千花、それから阿賀奈が所定の位置に立ち、提督と五月雨が手持ち無沙汰に展示を眺めている。
 しばらくすると、数人の女子生徒が視聴覚室の前に来た。廊下にいた書記の二人と会話をし、入るよう勧められて入ってきた。初日初めての入場者である。ちなみに那美恵たちと同じ2年生だ。
 那美恵たちは案内係に完全に気持ちを切り替えて彼女たちに展示を紹介し始めた。

 三千花による説明、実際艦娘になった那美恵からの実体験の話、各種パネルと映像資料。それらを女子生徒らに見聞きしてもらう。

「でね、今日は特別ゲストで、その鎮守府というところのトップの人と、あたしの同僚の艦娘の子にも来てもらってるの。」
 那美恵が触れてきたので提督と五月雨は女子生徒らに自己紹介をする。
「初めまして。ただいま紹介にあずかりました。俺が鎮守府Aの総責任者、西脇と申します。今日は光主さんたちの展示を見に来てくれてありがとう。」
「初めまして!私、五月雨っていう艦娘を担当しています、○○中学校2年の早川皐といいます。先輩方に私達のこと、少しでも知ってもらえたらと思ってます!先輩、よろしくお願いします!」

 女子生徒らは明らかに学校の生徒ではない、かなり年上の少しカッコいい男性と、妙に母性本能をくすぐられる年下の可愛らしい女の子に色めき立つ。
 彼女たちの興味はその二人に移り、那美恵たちの作った艦娘の展示はすでに興味なしという状態だ。提督と五月雨は女子生徒らに詰め寄られ、戸惑いつつ彼女らから質問攻めを受けている。

 その様子を見た那美恵と三千花は表面上はにこやかにしているが、内心頭を抱えていた。

 結局その女子生徒らは提督と五月雨から艦娘の話を聞くも、興味を継続させる気ほとんどなしという感じで視聴覚室を出て行った。

「いやぁ、まいったね。あまり興味持ってもらえなかったか。」
 提督は後頭部を掻いて一言呟いた。隣にいた五月雨はマスコット人形のようにいいように扱われ、顔は笑顔だったがその表情には苦笑と気恥ずかしさと疲れが入り交じっていた。
 そんな二人の様子を見た那美恵は……。

「とりあえず提督はあとでお仕置きね〜。」
「なんでだよ!? 中村さん、光主さんに何か言ってやってくれよ……」
 那美恵の冗談を受けて三千花に助けを求める提督。だが彼女の反応は提督が期待したものとは少々違った。
「すみません、西脇さん。鼻の下伸びてるように見えたので……私からしても弁護の余地なしです。」
 三千花の助け、得られずであった。