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電撃FCI The episode of SEGA

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 黒子は先程エスケープブラストを使用してしまったため、ブラストを回復するためにイグニッションした。
 これでブラストがダブルイグニッションとなり、ブラストの回復速度が格段に上がるようになった。
 二度目のイグニッション選択も終了し、黒子の体力が戻った後、ついに最終ラウンドが始まった。
「風紀委員(ジャッジメント)の底力、見せて差し上げますわ! 初春!」
 黒子は開始直後にサポートキャラクターを呼び出した。
「援護なら任せてください!」
 初春飾利は小さな端末を手に、ソニックの位置をサーチして砲撃のような攻撃をした。
「おっと! へへん! ホーミングミサイルのようなものか? 残念だが、オレはそういうの避けるのは得意だぜ!」
 ソニックは、勝手に自身の宿敵としてされている悪の天才科学者、Dr.エッグマンとの度重なる戦いで、ソニックを追尾するミサイルの類をいくつも受けてきた。
 しかし、その全てを回避し、逆にエッグマンにぶつけることで彼を撃退してきた。
 黒子と飾利のものも同じこと、とソニックは思っていた。
 飾利の姿が消え、サポートが終わったかと思いきや、まだサポートは続いていた。
「攻撃の手を止めないでください!」
 どこからともなく飾利の声がした。
「なんだと!?」
「了解ですの!」
 黒子は飾利の指示の通り、ソニックに攻めかかり、連続攻撃を仕掛ける。
 上段、下段を織り混ぜた攻撃に、ソニックは防戦一方となっていた。
 しかし、黒子の連続攻撃は延々と続くことなく途切れ、隙が生じた。
「良い調子です!」
「わあっ!?」
 黒子の隙を埋めるように、援護射撃が飛んでくる。
「少し時間を稼いでください!」
 砲撃の後、飾利の新たな指示が黒子に与えられた。
「ここは守りですわね!?」
 攻めの姿勢を取っていた黒子は転じて守りに入り、飾利の指示通りに時間が過ぎるのを待った。
「そうはさせないぜ、ここからはオレのTurnだ!」
 ソニックは下がっていく黒子を追った。すぐに追い付き、ソニックは攻めの手を打つ。
「野蛮な……」
 黒子はガードする。
 ガードの直後、黒子の目の前に、光る円盤のようなものが出現し、ソニックを後ろに下げさせた。
「こいつは、リフレクションガードか!」
 この世界にのみ現れる現象の一つとして、リフレクションガードと呼ばれるものがあった。
 ガードの直後に力を加えることで、ガードに前向きの圧力を持たせ、敵をその力によって強制的に後ろに退かせるのである。
 これによって余計なダメージを受けないばかりか、追撃のチャンスをも打ち消すことができる。
 距離が開いてしまった事で、ソニックに焦りが走った。このまま手をこまねいていては、飾利の指示通り、黒子に時間を稼がせてしまう。
「スピンダッシュ!」
 ともかく距離を詰めようと、ソニックは無策なインパクトスキルを使ってしまった。
 その瞬間だった。
「ナイスです!」
 飾利の声と共に、ソニックに見えない砲撃が襲った。
「ぐおっ!」
 ソニックはきりもみ状に宙を舞った。
「敵を転ばせてください!」
 飾利から三つ目の指示が言い渡される。
「ふふ、ただでは転ばせませんわよ!」
 黒子はソニックに向けてダッシュし、ジャンプして接近した。
「せいっ、やあっ! 拘束しますの!」
 二度の手刀打ちの後、膝蹴りをしてソニックの首と腕を持ち、黒子は落下した。
「初春!」
「良い感じです!」
 ソニックを地面で拘束すると、黒子はソニックから離れて飾利に好機を告げる。
 同時に飾利は最後の砲撃をした。
「これが、風紀委員(ジャッジメント)のコンビネーションですのよ、どうです? ソニック!」
 起き上がろうとするソニックに、黒子は得意気に言い放った。
「……なるほど、確かにすごいCombinationだ」
 ソニックは、背中についた砂をはたき落としながら立ち上がる。
「だけど、それならオレ達だって負けてないぜ!?」
 ソニックはシャドウを呼び出した。シャドウを背面に出現させ、ソニックは片膝をついて屈み込んだ。
「カオススピア!」
 シャドウはその手から、白く輝く光の矢をいくつも放った。
「そんなっ!?」
 黒子は突然の連続攻撃に、とっさにガードする体勢を取った。しかし、ソニックとシャドウとの距離が非常に近く、そのまま足払いをされてガードを崩される危険があった。
「リフレクションガード!」
 黒子は一方的な攻撃を回避すべく、リフレクションガードを発動するが、それによりゲージをかなり減らされることになってしまった。
「捕捉したぞ」
「Thanks,シャドウ! 次で決めるぜ!」
 シャドウが消えると、ソニックはすぐさま駆け出した。
 黒子には強力な技を使うためのゲージが残されていない。このイグニッションデュエルにおいて、ゲージがないというのはこの上なく不利な状態である。
「仕方ないですの!」
 故に、黒子が選択した行動は、ゲージを増加させるパワーアップブラストであった。
 ダブルイグニッションしたおかげでブラストは急速回復し、エスケープブラストをしてしまった不利は解消されていた。
「来ると思ったぜ!」
 ソニックは急停止し、ブラストによって放出される衝撃波から身を守った。
 パワーアップブラストに限った事であるが、ブラストの衝撃波をまともに受けると、相手のゲージが多くたまるという効果があった。
 ブラストそのものでダメージを受けるような事はないが、傾きかけた形勢が逆転する可能性もあったため、ソニックは突っ込むような事はせず、ガードを選んだ。
「行けるぞ……」
 シャドウの声がする。
「頼むぜシャドウ! ゲージは十分だ!」
 ソニックはシャドウを呼び出した。そしてゲージの効果をシャドウに与えた。
 シャドウは出現すると、手元に大きなエネルギー体を作り出していた。
 カオスエメラルドのエネルギーを攻撃へと転換し、撃ち出そうとしている。
「カオス……!」
 シャドウはまるで、弓矢を振り絞るかのように力をため、そして解き放った。
「スピア!」
 先程のような、連続的な光の矢ではなく、大きなひとかたまりの、いかにも槍(スピア)と呼べるほどのエネルギー体を、シャドウは黒子に向けて放った。
 シャドウの全力の込められたカオススピアは、大きいばかりではなく速さ、そして強さを持っていた。
 黒子は思わずガードしようとしてしまった。
「はんっ! かかったな!?」
 ソニックは笑みを浮かべる。
「っ!?」
 黒子は気が付くと、かなりの衝撃と共に吹き飛ばされ、声にならない叫びをあげていた。
 シャドウの全力のカオススピアは、あらゆるものを貫通するほどの力を持っていた。それも、ガードさえも無効にする反則的な威力である。
「ぐっ……! なんて、力なんですの……」
 この世界の補正により、ダメージは直に体へと届くことはないが、それでも現実世界で疾走する車にぶつかったような衝撃が黒子を襲った。
「さて、クロコ。デュエルはいよいよClimaxだ、勝たせてもらうぜ!」
 ソニックは走る。そして、ようやく立ち上がることができた黒子に軽いジャブを入れた。
「行くぜ、Climax Arts!」
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 作家名:綾田宗