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はろ☆どき
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ホットドッグ兄さん【スパコミ25 無配】

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 目的の町に降り立ってみると、まだ午前中なのに随分と人が賑わっていた。
 一瞬祭りか何かかと思ったが、駅員に尋ねてみるとたまたま大型連休で人出が多いのだという。そういえば汽車もいつもより乗客が多かった。
 人が多いのはともかく、休日ということで目当てにしていた施設が営業しておらず、連休が明けるまで調べ物はお預けとなってしまった。カレンダーなどいつも意識しない生活をしている兄弟は、想定外に足止めをくらうこととなった。
「着いた途端、三日も休日なんてついてねえな」
 辛うじて直前にキャンセルが出て一部屋空いていた宿に腰を落ち着けたものの、エドワードは不満顔である。
「でも他のとこに先に行ってみるほど時間はないし、この分じゃどこに行っても似たり寄ったりだよね、きっと」
 最近、予定が詰まり気味だったし、ゆっくりするいい機会だとアルフォンスは思った。でも文献も持ってないし、兄には退屈になってしまうだろうか。
「古書店とかやってないか探してみようか。人出を当てにして開けてるとこもあるかもよ」
「そうだなあ。ここ、来たことない町だしな」
 エドワードも宿に籠っているより、外に出た方がましだと思ったらしい。
「そうと決まればさっそく出かけてみようよ。お昼まだだし、お腹空いたでしょう、兄さん」
 アルフォンスがそう言った途端、エドワードの腹がくうと鳴った。
「はは、腹減ってるの、思い出した」
 エドワードが照れくさそうに言う。そういえば、今日は朝早い汽車だったから、朝食はろくに食べていなかったのだ。
「よっし、出かけるか!」
「うん!」



 町は人が行き交っていた。祭りではないが観光客目当てなのか、あちこちで何かしらの催しをやっているようだ。
 二人は中心から少し外れた場所にある広場に、屋台が並んでいるのを見つけて寄ってみた。
「いろいろあるね、兄さん」
「ああ。これならどこかにホットドッグを売ってるとこ、ありそうだよなあ」
 エドワードはきょろきょろしている。
「あ、じゃあ僕、この辺で座れるとこキープしておくから。ゆっくり探してきなよ」
 その方が効率的だし、何より混んでいるから先に席を確保しておいた方がよさそうだ。
「ああ、じゃあ頼む。とりあえず一周してみるわ」
「はーい、気をつけて」
 エドワードが出店を見ながら人混みに紛れて行くのを見送り、アルフォンスはさて、と振り返る。
 広場の周りは出店がずらりと並んでいたが、中央には簡易なテーブルと椅子が置かれていて、自由に食事ができるようになっている。たくさんあるがその分人も多く、空いている席を探すのは難しそうだ。でも兄に立って食べさせるのは忍びない。
 そう思っていたところに。
「あら、アルフォンス君?」
 聞き覚えのある女性の声が、自分の名を呼んだ。
「中尉! どうしてここに」
 声のした方を見ると、そこにはホークアイ中尉が座っていた。アルフォンスは思わずかけ寄りながら尋ねる。
「アルフォンス君こそ。ここで調べ物か何かしていたの?」
「そのつもりで今朝来たんですけど、目当てのところが連休中お休みで」
「あら、それはタイミング悪かったわね。でもこの時期はどこに行ってもそんなものだと思うけど」
「そうみたいですね。僕たちカレンダーとかあんまり気にして行動してないから気づかなくて。こんなことなら東方司令部に報告に寄ればよかったな。中尉はお一人ですか? プライベート……ではなさそうですね」
 何故ならホークアイは軍服を着ていたので、私用でここを訪れているわけではないようだ。
「ええ、大佐がこちらの町長に行事の挨拶を頼まれてね。混雑してる時期だから警備も兼ねて」
「あ、じゃあ大佐もいらっしゃってるんですね」
「ええ、今、食べ物を買いに行ってらっしゃるわ。エドワード君もかしら?」
「はい。なので、先に席を取っておこうと思って」
「なら、よければこちらにどうぞ。一緒に食べましょうよ」
 ホークアイがテーブルを指して招いてくれた。
「ありがとうございます! 混んでるからどうしようかと思ってたところなんです。助かります」
「ちょっと狭くなるけど……大佐とエドワード君に並んで座ってもらえばいいわよね」
 そこは四角いテーブルだったが、一面が植木に面していたので他の三方に長椅子が置かれていた。ホークアイが一方に、アルフォンスが一方に座ると、つまりあと一方しか座る場所がない。
 長椅子と言ってもそんなに大きくはないので、アルフォンスが腰掛けるといっぱいになってしまう。大人二人が並んで座るにも少し狭いだろう。
「もちろんです。こちらがお邪魔させてもらうので。大佐にご迷惑でなければですが……」
「大佐ならもちろん問題ないわよ」
 ホークアイが綺麗な笑顔で微笑み、断言した。アルフォンスも「よかった」と頷いた。
 エドワードがホークアイの隣に座るという選択肢は、二人の頭のどこにも存在しなかった。
「ところで大佐は何を買いに行かれたんですか?」
「本当なら下士官である私が行くべきところなのだけど……何でも大佐の知り合いが出している店があるとかで。ホットドッグ屋らしいのだけど」
「へえ。さすが大佐、顔が広いですねえ。あ、じゃあ兄さんも同じところに行ってたりして。最近、兄さんはホットドッグがお気に入りで」
「あら、そうなの? 大佐は昔からホットドッグがお好きなのよ。そこのはマスタードが自家製で美味しいのですって」
「わあ、兄さんも最近はマスタードに興味があるみたいなんですよね。昔は辛いの苦手だったのに。気が合いますねえ」
「そうなの。ますます奇遇ねえ」
 席取り待ちの二人はお互いににっこりと笑いながら、買い出しに行った二人の戻りを待った。
 二人が一緒に戻ってくると確信していた。