二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 散歩7

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 

「刹那、先に風呂に入るか? 」
「おかんと入るから後でいい。」
「まあ、それならそれでいいけど。・・・・えーっと今夜は誰と寝るのかな? 刹那さんや。」
「おかんと寝る。ロックオンには三十六時間ぐらいは付き合ったから、十分だ。」
「じゃあ、客間で、みんなで寝るとするか。・・・・悪いけど、後で布団の移動頼んでいいか? 」
「了解した。今、運んで来る。」
「あと、洗濯物をランドリーボックスに入れとけ。」
「わかった。」
 ぐりぐりと刹那は頭を、おかんの背中になすりつけてから離れた。さくさくと用事は片付ける。ダンボールに入った野草は、食卓に置かれている。これを飾るには鉢の下に入れる皿が必要だ、と、ニールがダンボールを覗き込んだら、ちゃんと隅っこに新聞紙で包まれた皿も入っていた。
「それ、旅館から買い取ってきたんだよ。だから、飾られてたまんまだ。」
 ビールを取りに来たロックオンが、そう説明する。無料で、と、旅館は言ってくれたが、それでは申し訳ない、と、ロックオンがいくらか料金に上乗せして支払ってきた。
「こんなの飾ってるのか? 」
「アスランが秋の花の観賞をしたいってリクエストしてくれたらしい。それで、部屋にも部屋付きの風呂にも秋の花が飾られてた。それは野草で、こっちにはないだろうから、刹那が欲しいって言ったんだ。特区の旅館っていうのも、ゆっくりしていいな? 兄さん。」
「ああ、いいだろ? わざわざ外へ食事に行かなくていいから呑んだらベッドに倒れこめるし、寝る前に呑むと言っておけば酒の肴も用意してくれるし。至れり尽くせりだ。・・・・もう少し延長して泊ってくればよかったのに。」
「無理無理。うちのダーリンは、あんたといちゃこらしたいんだから延長なんて言ったら暴れる。でも、秋の花は、いろいろと観賞してきたぜ。」
「まだ少し早いんだ。本格的に秋になったら菊が綺麗なんだけど、あれは十月過ぎないとなあ。」
「ふーん、コスモスの花畑は綺麗だったぜ。他にも、そういうのが咲いてる公園とか寺にも行った。そういや、旅館の庭は、萩という花が満開だったよ。」
「萩か・・・そうだな、あれは今頃が満開だな。おまえさん、呑むだろ? メシは後でいい? 」
「そうだな。本日のメニューは? 」
「肉じゃがとイモサラダ、ナスの煮物、しめじと菊菜のポン酢和え、中華の五目煮あたり。何、呑む? ダコスタがジンベースでやってるけど。」
「和食ですか。いいねぇ。肉じゃがはアイリッシュシチューの和食版だったな。俺は、とりあえずビールで、後からウイスキーとかにしようかな。」
「了解。そう言うと思って用意してある。ギネスもあるだろ? 」
 冷蔵庫には、きちんとロックオンの好きなビールも用意されている。酒の量販店に出向いたから、適当なビールも買って来た。ウイスキーは、トダカと虎がくれた寝酒にしているウイスキーがある。
「それで、あんたのイノベイドな息子は? 」
「脇部屋でテレビ見てるから呼んで来てくれ。メシにするから。」
「はいよ。」
 ビールを取り出して、実兄の耳に、口元を寄せる。「新婚旅行ありがと。愛してるよ、ニール。」 と、耳たぶに軽くキスして離れた。実兄のほうは唐突すぎて、ひゃっと飛び跳ねた。



 さすがに和食ばかりでは、実弟が困るかもしれないので、チーズの盛り合わせと、刺身をカルパッチョに変えたものも用意した。後は、寺の通常メニューだ。簡単な肴で呑んでいたダコスタには、切干大根の煮物が用意されている。
「そうそう、こういうの食いたくて・・・でも、こればかりは作れないしさ。」
「だから、適当に、うちでメシを食えって言ってるじゃないか。気を遣わなくていいんだから。」
「そうしようとは思ってるんだけど、ハイネが居座ってるんで、居候が二人はひどいかな? って。」
「別に一人も二人も変わらないぜ? 平日なら部屋も空いてるから泊ってくれていいしさ。」
「それ、身体で返すでいいの? 」
「それが一番有り難い。ホームセンターで買い物すると重くてさ。運転手が欲しいんだ。あと、店のほうのショッピングセンターに遠征したい時なんかも有り難い。」
「ああ、そういうことなら手伝えるな。」
「で、ビールも呑む? 」
「いや、ジンでいい。なんかビールって腹が膨れるけど酔わないから面倒なんだ。」
 アルコールのほうはダコスタが自分で作るので、おかずを運ぶことにした。大皿盛りにして各自、小皿に取り分けてもらう方式だから、卓袱台の真ん中にメインが並ぶ。刹那が布団を移動させ終わって戻って来た。その後からロックオンとリジェネも戻って来る。
「豪勢だなあ。」
「いや、通常メニューなんだ。特区は野菜の種類が多いんだよ。リジェネ、麦茶でいいのか? 刹那は? 」
「僕は麦茶。」
「刹那、ちょっと、ジンも味見しないか? 」
「ああ、ジンをくれ。それからニール、あんたはメシを食え。どうせ呑まないんだろ? 」
「メシは、みんなと一緒する。適当に摘むから気にするな。・・・ロックオン、フォークとスプーンも用意したけど? 」
「箸使いを取得しようと思う。これ、よく考えると便利だ。持ち替えなくていいし。」
「それなら、がんばれ。」
 特区の箸は他の地区の人間には扱いづらいものだが、刹那たちマイスターは、かれこれ七、八年、ここに通っているから使えるようになっている。それが悔しくて、ロックオンも練習することにした。適当にスプーンは使うが、なんとか食べられる。
「どのくらい滞在できるんだ? 刹那。」
「俺は、後十日。ロックオンは五日ぐらいだ。」
「え? 短いな、ロックオン。」
「準備が終わった息抜きだからさ、このあと、また移動すんだよ。やりたいことはやったから、あとはダラダラする。」
「それならマンションで過ごせば、どうだ? 」
「ダメダメ、うちのダーリンが暴れる。最後の日くらいは構って欲しいな? ダーリン。」
「わかった。最終日はマンションでもいい。」
「やっほーラッキー。その後は、ニールにお任せするよ。」
 これから軌道ステーションへトレインで上がって、そこからは潜入ミッションに入る。しばらくは、組織には戻れない。予定では三ヶ月程度だから、ロックオンも納得はしている。大したミッションではないが、まあ、命の危険は一応、あるものだが、楽天的な生き物は気にしないらしい。



 店の事務室でアスランが八戒の手伝いをしていた。予約客が少ないので、経理の助っ人をしている。予約客が、過去、アスランがフェイスだった頃の人間なので、あまり顔を出したくないからのことだ。アスランの携帯端末が、ぴろりーんと鳴った。
「刹那たち、戻ったみたいです。」
「しばらくは、ニールもゆっくりできていいでしょう。じゃあ、今週は店は休んでもらいますか? アスラン。」
「そうですね。台風の影響か予約も少ないし・・・・・八戒さん、どこか近場でコスモスの迷路があるところを知りませんか? 」
「コスモスの迷路? なんですか? それは。」
作品名:こらぼでほすと 散歩7 作家名:篠義