敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女
電文
アラームが鳴る。通信機だ。〈ヤマト〉がこちらに何か伝えてきたらしい。光が点滅しているボタンを古代は押してみた。
ディスプレイにごく短い文が出た。
《ヤエ、ヨノナカ》
「なんだ?」
と言った。〈糸電話〉で山本を呼ぶ。応答が来た。
『こちらでも受信しました。ヤエ、ヨノナカ』
「どういう意味だ?」
『かるたでしょう。さっきの暗号が通じたんですよ。わたし達に何かやれと言ってきたんです』
「そりゃわかるけど……でも、『やえ』はわかるにしても『よのなか』って……」
『ええ。これじゃ取れませんよね。どっちだかわからない』
「だよな」と言った。「これで何しろってんだ?」
作品名:敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女 作家名:島田信之