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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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カガミなければただの砲



「敵戦闘機隊が一斉に向きを変えました。全機が同じ方向へと進んでいます」

冥王星ガミラス基地でオペレーターが言った。

「ほう」とガンツがレーダー画像に眼をやって、それから驚いたように、「これは!」

「やつら、気づいたかな」

とシュルツが言う。画(え)に重なる作戦図には、『もしも敵の戦闘機隊がココを目指して飛ぶようならば要注意』との意のマークが記された領域が描かれてある。どうやら敵はまっすぐそこに向かい始めたように見えた。

ガンツが言う。「これは要(かなめ)の〈カガミ〉がどこかやつらが気づいたと言うこと……」

「そういうことになるらしいな」シュルツは言った。「〈死角でないところが死角〉だ。我々は〈ヤマト〉がこちらの砲台の逆半球にいるときしか撃てなかった。そうしなければ重力均衡点にある要の〈カガミ〉にすぐ気づかれ、あの副砲にアッサリ撃ち墜とされてしまう。そうなったら反射衛星砲は反射衛星砲ではない。普通にまっすぐ獲物を狙う普通の砲台になってしまう」

そして笑った。自嘲(じちょう)めいた笑いだった。眼はスクリーンを見つめている。敵の戦闘機隊がいま要注意エリアに向かっているのはたまたまのたまたまで、すぐさま別の方角に行ってくれるのではないか――そのように期待しているようすだった。

しかしそれも束の間のことだ。参謀達から『敵の目的にもはや疑いの余地なし』との報告が入るや、シュルツの笑みはむしろ不気味なものに変わった。

「まあいい。これでこそおもしろいと言うものだ」シュルツは言った。「注意エリアに敵が向かっていると言うのは、〈第一の死角〉に気づかれたと言うのに過ぎん。まだ〈第二の死角〉までは気づいていないということだ。そうだな?」

「はあ。ですが……」とガンツが言う。「しかし、時間の問題かと……」

「わかっているさ。〈バラノドン〉隊の準備は整っているのだろうな」

「はい。全機発進可能です」

「よかろう。出すのは、やつらが〈第二の死角〉に気づいたときだ」シュルツは言った。「死角に死角を重ねるだけだ。よほどのバカでなければ気づくさ。しかしそのときこそやつらの最期だ」