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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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「うむ」と石崎。「奇跡は一度しか起こらない。わたしはそれを知っている。生きることが未来につながり、生きることを捨てた者に未来はない。もう二度と過(あやま)ちを犯すことはないだろう。ひたすら人を愛し、美しい地球を作っていくことを誓う」

「は?」

と一同。怪訝(けげん)な顔で首を傾(かし)げた。

「さらばだ、諸君。この薬を飲むとわたしの心臓は止まる」

「はあ」

「だが脳死には至らない」

「へ?」

「わたしの死は一時的なものなのだ。必ずまた君らの前に姿を現すことだろう。死んでしまってなんになる。誰もがそう考えるだろう。その通りだ。男はそういうときにこそ立ち向かっていかねばならない。そうして初めて不可能が可能になってくるのだ」

と言って一同の顔を見渡した。しばらくして〈青〉の男、風見が言った。

「ええと……おやじさん、それ、毒薬じゃねえんですか」

「バカなことを言うんじゃない。毒なんかわたしが飲むわけないだろう。これはお前、仮死剤だよ」

と言いつつ薬を持つ石崎の手は震えていた。その錠剤は、〈毒薬〉ではないにしてもかなり危険なシロモノで、後でやっぱり息を吹き返さない確率や、重い副作用を伴うおそれがあったりするものなのだろう。実はそれで飲むのをためらっていたらしいのが、この石崎という男の今のようすに窺えた。