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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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因縁



『ンなこと言ったって、どうすりゃいいんだ!』『おれが知るか! 人に聞く前に自分の頭で考えろ!』『何おうっ! 何も考えてないのはてめえだろうが!』

反日集団のこんなやり取りは、日本の防衛軍本部にも筒抜けだった。いくつもの国語で発せられている声が、すべて日本語に翻訳されて聞き取られている。

「やって来た者達ですが、かなり混乱しているようです」

情報局の局員である佐官が会議室で言うのに、

「そうだろうなあ」と藤堂は応えて言った。「連中は日本に辿り着きさえすれば後はどうにでもなると思っていたのだろう」

「日本について無知であるうえ、彼ら同士で団結などしていないのが実態のようです。むしろ己の隣国を、日本やアメリカ以上に敵視している人間ばかりなのかもしれない」

「まあそういうやつらと言うのは、そういうもんだろうからな」

この人類全体の危機に、自分の属する狂信的な集団だけが生き延びようとする者達。それができると信じる者達――結局のところやって来たのはそんな連中ばかりなのか。ここで出くわしたからと言って日本を相手に共同戦線を張るなんてことは絶対にしない。似たもの同士の対立は、反日感情の百倍も強い。何百年も昔の植民地時代に互いの隣人を奴隷に売った恨みを今も引きずっている。その矛先(ほこさき)を何も考えぬカラッポの頭でちょっと日本に向けたに過ぎないのだから。

「日本に来てみると真っ暗なうえに酸素が無くて息が苦しい。それが彼らの混乱を増大させているようですね」

と情報局の佐官。とうとう彼らはタッドポールの窓から〈AK〉やロケットランチャーを出して互いに撃ち合いを始めた。そのようすがスクリーンに映し出される。

「あきれたものだ。いっそ全員、潰し合って死んでくれればいいのだが」

「そこまでうまくはいかないでしょう」

「とにかく」と藤堂は言った。「こいつらよりも今はまず石崎だ。突入の方はどうなってる?」