敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女
一石多鳥
「やられました!」ガミラス基地でオペレーターが叫んだ。「二機……いや、三、四……」
「なんだと?」
とシュルツは言った。ゼブラ柄の画面の中に次々と広がる爆発の閃光が見える。オペレーターが言った通り、三つ、四つ、いや、続けて――。
「六機だ……」オペレーターが言った。「いっぺんに六機殺られた……」
「どういうことなんだ!」
とガンツが言った。彼にも何が起きたのかまったくわからないらしい。
「あの二番機です」とオペレーター。「敵隊長機の後ろについていたやつですよ。あれはこっちの考えに気づいていたのかもしれません。〈バラノドン〉が射つ寸前にレーダーにジャミングかけてミサイルを射った……」
「なんだと……しかし、どうして六機も……」
「いえ。ミサイルを喰らったのは一機だけです。こちらの隊長は無事でしたが、その隣が殺られた。他の五機は地面への激突です」
「地面?」
「ええ。自分から突っ込んだんです。影のせいでよく見えなくて、地面との距離が掴みにくい。そこに向かって急降下したわけですので……」
「咄嗟のことでそのまま突っ込んだと言うのか」
「はい。もとよりバラノドン隊は、地面に激突寸前まで急降下速度を上げていたんです。そこへ攻撃を受けて一機殺られたものですから、そのまま行けばぶつかるのを一瞬忘れた……」
「それで五機も……」
ガンツは言った。スクリーンの中では失われた六機の〈バラノドン〉がまだ燃えている。
「おのれ……」
作品名:敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女 作家名:島田信之