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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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短絡する人々



そして、まったく似たような脳神経回路を持った集団が、地下都市の〈空〉を飛んでいた。外国からやってきた〈日本人死ね死ね団〉だ。彼らもまた、〈ハイペロン爆弾〉とは、一種の〈浄化装置〉であるとすぐに決め付けて思い込んだ。よくもよくも――。

「ド畜生があっ!」各機内で男達が叫ぶ。「野郎、やっぱりそんなものを持っていやがったのか。許せねえ!」

「ハ、ハイペロン爆弾ってのは、つまりそういう爆弾なのか!」

「そうだ! そういう爆弾なんだ! 他に考えられねえだろうが!」

「そうか、そういう爆弾なのか! そうなんだな? そうなんだな?」

『皆さん』と、同時翻訳の石崎の声はどの機内でもまだ聞こえている。『世の中には、決してお金では買えないものがあります。それは〈愛〉です』

「そういう爆弾なんだなあ!」

『〈愛〉。震える〈愛〉。それは別れ歌……もう哀しい歌を聴きたくはありません。わたしは逃れ逃れてこの部屋に辿り着きました。うっうっ……』

石崎は言う。元々意味が不明瞭な彼の言葉は機械によってこのように訳され外国人の耳に届く。

(わたしに哀願しても聞かぬぞ。逃げるわたしをこの部屋までよくも追い詰めてくれたな。おうおう)

「イシザキめえっ!」

「この電波がどこから来るかわからんのか!」

そう叫ぶ者がいる。それに応えて返す者が、

「北だ! 街のいちばん北で放送しているらしいぞ!」

「変電所か! そこにイシザキがいるってことか!」

「そうだ! つまりこの停電も……」

「イシザキの仕業(しわざ)と言うことだな! よし、そこへ向かえ!」

各機内で一様(いちよう)にそんな言葉が交わされた。短絡人間達を乗せた無数のタッドポールが一斉に共通の敵を目指して北へ向かい出した。