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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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線の上を



「線?」

と古代は言った。レーダーマップに表示された湾曲した一本の〈線〉。通信で〈ヤマト〉が送ってきたものだ。相原の声が、その〈線〉に沿って飛べと告げてくる。

古代は言った。「この上に〈魔女〉が居ると言うんだな?」

『そうだ! 計算でそこまで出した! だが〈点〉まではわからない。後は君らに見つけてもらうしかない。その線上を飛んでくれ!』

「了解……」

と、脳酸欠を起こしかけている頭で応え、それから操縦桿を戻してレーダーマップを見直してみた。点ではわからぬが線ではわかる。後はおれ達がこの線を飛べ?

地図に引かれている〈線〉は長さ百キロばかりらしい。さっきまでは二百掛ける百キロの四国程度の範囲を皆で捜索する話であったのが、今ではもうその高速道路のような〈線〉の上さえ飛べばいいと言うこと。計算では〈魔女〉はそのどこかにいる――。

いける、と思った。ここまで特定できたのならば、もうこんなS字ループを描き続ける必要はない。おれひとりがこの〈道〉の上を飛べばいいだけだ。無論、敵はすぐさまおれを狙ってくるに違いないが、それも望むところと言うもの。

タイガー乗り達や山本は、百戦錬磨の強者(つわもの)揃いだ。さっき救けてくれたように、経験にモノを言わせておれを護ってくれるはずだ。

「よし」と言った。「わかった。行くぞ、みんな!」

『おうっ!』全機が声を返してくる。

「ありがとう、〈ヤマト〉!」

『幸運を』

相原が言った。古代は〈ゼロ〉をそれまでと逆方向にターンさせてループを抜けた。上向きのGが掛かって血が頭に送られて、視力が戻ってくるのを感じる。

そうだ、ありがとう、〈ヤマト〉! この計算をしてくれたやつよ! おれは必ず、君が見つけた道を突き抜けてやるぞ! 古代は思った。必ず、〈魔女〉を討ってみせる! 

古代は〈ゼロ〉を反転させて〈線〉への進路を取った。