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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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転換



「戦闘機隊がまた方向を転じました」

ガミラス基地でオペレーターが告げる。画面にはどうやら彼が言う通りらしい地球の戦闘機隊の動きが映っているが、

「今度はなんだ」

言ってシュルツは画面を見た。先ほど、敵の戦闘機隊は急にそれまでの動きをやめてひとつの方角に向かい出した。その先には特にこれと言うものはない。こちらの迎撃にたまりかねて逃げ出したかのようにも見えたのだが、それがまた向きを変えたと言うのは――。

「通信は傍受しているのだろう。やつらの考えはわからんのか」

「解読はさせていますが……」

と情報部員。先ほどから敵は通信制限を解いて、さかんに何かやりとりしている。その傍受はしているが、しかし何を言っているかつぶさにわかるわけではなかった。暗号とノイズだらけのデータを調べ、きれいなものに洗い上げるには時間がかかる。

もちろん、今は、そんなことをしてるヒマなどありはしない。敵の方もそれを承知で、傍受のリスクを覚悟の上で無線交信しているのだ。ゆえに切れ切れのデータから、地球人の考えを推し量るしかないのだが――。

「これは……」とガンツが言った。「やつらが進む方向……」

「あ」と情報部員。「そうだ。まっすぐ砲台に向かっている!」

「なんだと?」

とシュルツは言った。あらためて画面を見る。なるほど敵の戦闘機隊は、〈反射衛星砲〉の砲台をまっすぐ目指しているようにも見える。しかし、

「そうか? ちょっとズレてはおらんか?」

「いえ」と情報分析官。「平面図ではそう見えますが、やつらは星の球面に沿ってまっすぐに進んでいます。だから本当はこのように……」

別の画面に冥王星の立体地図が表示され、敵の動きが示される。戦闘機隊が進む先にあるのはまさしくビーム砲台。

「〈線〉だ……」情報分析官は言った。「やつら、砲台のある位置を〈線〉で割り出しやがったんだ。一度、あさっての方角に逃げてったように見えたのは、〈線〉の始点に着こうとしてのこと……」

「ちっ」とシュルツ。「〈線〉だと? まだ砲台がここだとまでは知らんのだな?」

立体図上の砲台を指した。分析官は頷いて、

「はい。ですがこのままだと……」

見つかるのは時間の問題。敵はその一機一機が核ミサイルを持っているのが、先ほどドリルミサイル発射台を殺られたので判明している。核を喰らえば当然ビーム砲台も一撃の下にオダブツだ。

〈ヤマト〉は氷の下の海で、今その力を取り戻しつつあるに違いない。それに対してこちらは三隻。いかに大型の戦艦と言え、回復した〈ヤマト〉相手に充分な戦力を持っているとは言い難い。

〈ヤマト〉に勝つには〈反射衛星砲〉の援護が要るのだ。なのにそれを殺られたら――。

「こいつらを止めろ!」シュルツは叫んだ。「砲台に辿り着かせるな! 全機その前に墜とすんだ!」