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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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ガタつき



「くっ……」

バラノドン隊の隊長は、レーダーの画面を睨み歯を噛んでいた。「よくも」とつぶやく。画面には、〈標的〉として示されている敵隊長機と、命に替えてもそれを護る覚悟らしき数十の指標。

今度こそ殺ってやったと思ったものを……無理な攻撃をかけたがために、また何機も失くしてしまった。やつらのうち一機でも生かすわけにはいかぬと言うのに、ひとつ殺してやるごとにこちらが五を失くしてしまうようでは……。

数だけの問題ではない。部下の報告がいくつも聞こえる。

『レーダーの攪乱装置を破損しました。ステルス幕を張れません!』

『ダイブ・ブレーキに損傷。これで降下すれば……』

地面にドーンと突っ込んでおしまいなのは確実、と言うことである。二番目の報告の主が告げるのは――そして他にも機がダメージを受けたと述べる者達がいる。

「わかった。貴様らは後ろにまわれ」

言って隊長は計器を見た。自分の機も各所にガタが起きているのを報せる警告表示が出ている。

あと何度もこんな〈特攻〉は続けられない。いずれただの自殺になるだけ――。

隊長はまた歯を噛んだ。しかし、それでもやらねばならない。たとえ我らが死のうとも、反射衛星砲台は対空火器で強固な護りもされているのだ。だから、あいつさえ殺れば……。

おれはここで死んでもいい。彼は思った。「行くぞ!」と叫ぶ。

敵の先頭、銀色の戦闘機を睨み据える。お前だけは墜としてやる。バラノドン隊の誇りにかけてだ!