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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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再発進



〈ヤマト〉船体のあちらこちらから、グラスにビールを注いだように泡が吹き上がり海中を昇る。メインとサブのエンジンに、各所の姿勢制御ノズル、主・副砲塔の砲身だ。それらが熱を帯び始め、海底の水を沸かせているのだった。

艦内では傷に包帯を巻いたクルーがそれぞれの持ち場に就いて戦闘の準備完了の報せを告げる。

『第一魚雷発射管、魚雷ミサイル装填完了!』

『第二魚雷発射管、魚雷ミサイル装填完了!』

艦首と艦尾に六門ずつの魚雷ミサイル発射口が蓋を開け、そこからも泡が水中にこぼれ出た。再び氷を今度は下から割るためのミサイルが先を覗かせる。

『これより反撃に出る。総員、戦闘に備えよ!』

全艦に沖田の声が鳴り響く。生活要員や航海要員は、ベッドに縛り付けられた者らの手を握っていた。今のところ、彼ら重傷者に対してできることはそれだけだ。寝かされた者も寄り添う者も頷き合って歯を食いしばる。

「〈ヤマト〉発進!」

艦橋で沖田が叫んだ。島が「〈ヤマト〉発進します!」と唱えて機器のスイッチを入れる。レバーを倒すと船がガクンと揺れ動いた。

海底に泡が弾ける。まるで巨大なシャンパンの栓を抜いたかのようだ。泡の柱を昇らせながら、〈ヤマト〉もまた海底を離れた。

人工重力装置によって〈重く〉されていた船体が、その軛(くびき)を解かれたのだ。〈ヤマト〉は本来、普通の船と同じように水より軽く造られており、〈重し〉がなければ水に浮く。艦内でも誰もが急に自分の体が軽くなったように感じていた。ビルのエレベーターが上昇するときに乗る人間が体が重くなったように感じるのとまったく逆に――加速によるGよりも、それまで身にかぶさっていた〈おんぶお化け〉が消えた効果が大きいために、もうちょっとで足が床を離れて宙に浮きそうな錯覚さえ覚えさすのだ。

急速に浮上しつつ〈ヤマト〉は艦首を上向かせた。船を〈軽く〉しただけではない。エンジンの噴射の力でグングンと上昇。球形艦首が水を切り、泡が昇る速度を追い越して突進する。

その姿はまるで滝昇る龍だった。〈ヤマト〉はもう完全にその船体を垂直にしていた。竜巻のように渦巻く泡の柱を切り裂いて上昇。その先には固体メタンと固体窒素の厚い氷が待ち構えている。

「艦首魚雷発射管、全門発射用意!」艦橋で南部が叫んだ。「てーっ!」

六基のミサイルが、泡の尾を引く彗星のように射ち出された。