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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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そうだった。今の日本の宰相がそういう人間であるのを知らぬ者はない。だからこそ、それにすがる者もいる。今、石崎を崇める者は信じているに違いなかった。今日に一酸化炭素を吸って死んでも、石崎の敵がすべて滅びた明日に自分は息を吹き返すことになるだろう。石崎の腕に抱かれて目覚め、『ああ、ワタシは今までどうしていたのでしょう』とか言うことになるのだと――それが独裁者への崇拝というものなのだから。そして当の独裁者も、自分にほんとにそんな力があるものと思い込んでるに違いなかった。だから、なんのためらいもなくこれがやってのけられる。石崎の〈愛〉を受け入れない者はどうせ生きてはならない者だ。だから今日この機会に皆殺しにするのは〈愛〉。大いなる宇宙の〈愛〉。

だが、もちろん狂人が信じるような奇跡など起こるはずのないことだった。確かに人が明日に命を繋ぐには、たったひとつしか方法はない。

〈愛〉に狂った独裁者を倒すのだ。殺して、死体を地下都市の天井からブラ下げる。それも、台頭を許してしまった日本人自(みずか)らの手で――十億人が明日に生きて甦るには、他の道は有り得ない。

「わかったか」

士官が言った。もはや誰もが頷いていた。士官は全員を見渡してから、「よかろう」と言ってキャビンの両端に立つ者達に手で何かの合図を送った。どうやらこの寄せ集め部隊に石崎信者がもしも紛れ込んでいたら、殺して機から落とすつもりででもいたのだろう。その必要はなくなったという合図だ。

「君らと共に戦えることを誇りに思う。我らの明日を取り返そう」

士官は言った。全員が、「おうっ!」と鬨の声で応えた。