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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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ドリルミサイル爆雷



ドーン!という轟音とともに床が揺れる。『揺れる』などと言うものではなかった。〈ヤマト〉という船が一個のカクテルシェーカーで、超巨大な斎藤副技師長に振られでもしたかのような衝撃だった。

そのとき佐渡先生は全身が血まみれになって手術台に向かい、ケガ人の胸を切って開けた口に手を突っ込んで、止まっている心臓を掴んでギュウギュウ揉んでいるところだった。

「ええい、動け! 動かんか!」

そう叫んで揉んでいたが、心電計は直線のまま。

そこへドシーンだ。衝撃で、手術台から患者はフワリと一瞬飛び上がった。そして落下――と、佐渡先生は、手にドックンと物が膨らむ感触を受けた。

「おおっ?」

見れば心電計がニューギニアの山脈みたいな線を表している。止まっていた心臓が見事に脈を打ち出したのだ。

「なんと!」

言ったときだった。またドシーンと衝撃が来た。床が傾き、器具が散らばる。

「な、なんじゃあーっ!」

無論、医務室ばかりではない。船全体がグラグラ揺れた。船務科室では森がちょうど部屋に入りかけたところでドーンと来た。森はたまらず床に転がる。

続けざまにドドーン、ドドーン。

「な、なに?」

「爆雷です!」部下が叫んだ。「やつら、水中を〈ヤマト〉めがけて……」

ドリルミサイルを爆雷にして雨と降らせてきたのだった。次から次にミサイルが、〈ヤマト〉の周りで起爆して暗い深淵を照らし出す。水中ではすぐ火は消えるが、衝撃は球形の波を作って広がって、水圧の壁で行く手にあるものを叩くのだ。〈ヤマト〉は四方八方から、人工の海底津波に襲われていた。

そのたびに船はガクガクと揺さぶられ、床は暴れて跳ね動く。中にいる者はたまったものではなかった。

そしてまた、一発が、〈ヤマト〉の直上からまっすぐに甲板めがけて落ちてきていた。今の〈ヤマト〉に躱す術(すべ)があるわけもない。当たってそこで弾けたならば一巻の終わりだ。しかし――。