敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女
もうひとつ
「上方ニ熱源反応。大型船ノえんじん熱ト思ワレマスガ……」
森に代わってレーダー手席に着いたアナライザーが、赤外線探査装置が捉えた像を見て言った。しかし、
「ヨクワカリマセン。みさいるノ爆発ニ乱サレテシマッテ……」
「ふむ」
と沖田が言った。その間にも艦内はロデオのように揺られている。艦橋内も霜に覆われ、窓も霜で白く曇ってしまっていた。まるで地球の雷の日の夜のように、窓がパッと明るくなったかと思うとしばらくしてガーンと振動がやってくる。
沖田は自分のコンソールのパネルを見て、「出してきたな。これはおそらく戦艦だ」
「はい」言って新見が機器を操り、情報を素早く分析に掛ける。「数は三隻――おそらく、いま氷の上をまわり動いているのでしょう。三枚羽根のプロペラのように……」
「そうだろうな」沖田は言った。「〈ヤマト〉が海を出たところを、その三隻で集中砲火か。しかし、それだけではない。もうひとつ……」
作品名:敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女 作家名:島田信之