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しょうきち
しょうきち
novelistID. 58099
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冒険の書をあなたに

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 その頃ルヴァは松明で辺りを隈なく探しながら上階へと進んでいた。
 四階に上がったとき、通路の先から白い光がふわふわと飛んでくるのが見えて、思わず身構えた。
 鳩ほどの大きさの真っ白な鳥がルヴァの周りをゆったりと飛び回っている。
 その鳥を見た瞬間、それまでばくばくと落ち着かなかった心臓の音が一気に平常へと戻っていく。
(この感じは……アンジェのサクリア?)
 鳥は行く先を示すように少し先を飛び、時折ルヴァの周りを飛んで何かを待っている様子だった。
「もしや、道案内を……?」
 こんな魔法は見たこともないが、アンジェリークがあの大男相手に頑張って戦っているのだと、ルヴァは気を引き締めて足早に上階へと向かった。

 一方、アンジェリーク……
「来い。おまえを味わってみたい」
 余りに下品なその発言に、うっかりみぞおちに拳を叩き込みそうになるアンジェリーク。
(同じことをルヴァが言ったらドキドキしちゃうんだけどなー……こんな人に言われてもね)
 本当なら今頃ルヴァといちゃいちゃしている時間だった筈なのにこんな覆面変態男のせいで台無しに、と怒りすら覚える。
「お……お待ち下さい、カンダタさま。あの、わたし……実はまだ空腹で」
 後ずさるアンジェリークに近付いて、カンダタが強引にアンジェリークの腕を引いた。
「後にしろ」
 無理やり抱き締めてきたところで、余りの身勝手さと気持ち悪さにぶちんと堪忍袋の緒が切れた。
「……わたしを抱こうっていうなら、せめてその覆面くらい取ったらどうなんです! 顔も見せないだなんて失礼でしょう!?」
 勿論おとなしく抱かれるつもりなど毛頭ない。ただの時間稼ぎではあったが、イイコぶるのに少々疲れてしまったのだ。
「それもそうだな……」
(なんかあっさり認めたああああ!)
 やだほんと素直なバカ、と思いつつ、カンダタが覆面を取る瞬間をまじまじと見つめた────黒い短髪の割とまともな外見だった。
(いっ……意外と整ってるじゃないの……っ)
「これでいいか?」
 少し困ったようにはにかむその顔はそれほど悪くない。なのにどうして覆面でビキニパンツ一丁なのだ、顔より他に隠さねばならない部分があるだろう。普通にしていればそれなりに見られる外見だというのにもったいない────そこまで考えてコホンと咳払いをした。
 そしてアンジェリークはここで己の重大なミスに気付いてしまった────覆面を取れば抱いてもいい、と受け取れる発言をしたことに。

作品名:冒険の書をあなたに 作家名:しょうきち