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しょうきち
しょうきち
novelistID. 58099
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冒険の書をあなたに

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 環になって会話をしていた三人の側へ、どさりと音を立てて一匹のリザードマンが落っこちてきた。飛んできた方向を辿るとリュカがドラゴンの杖を持って立っている。
 どうやらその一撃がとどめだったらしく、三人の目前でさらさらと砂になっていった。
 リュカが頭を掻きながら近付いてくるのを見て、ピエールが慌てて跪いた。
「ごめん、そっち行っちゃったよ。こっちは全部片付いた……ん? どうしました?」
 覗き込んだルヴァの表情が僅かに曇っていることに気付き、リュカは顎をさすった。
「……崖、行っちゃいます? 近いし」
 言葉が出るよりも先にぶんぶんと首を左右に振り、全力で拒否するルヴァ。
「いいいいいいいいい、いい、いいです結構です!」
「なんだったらアンジェさんと二人まとめてご一緒に」
「あっそれ楽しそうー!」
 満面の笑みでゆっくりと両腕を広げたリュカがじりじりと近付き、ルヴァも杖を握り締めてじりじりと後ずさる。
「嫌です、絶対嫌です! ちょっ、リュカ、あなた目が笑ってないですよ、来ないで下さいー!」
 逃げ惑うルヴァの反応が楽しいのか、追い掛け回すリュカの背中にプックルが呆れて声をかけた。
「おいリュカ、賢者が本気で身の危険感じてるからやめてやれ。それにまたおいでなすったぞー」
 真っ黒な体に大きな角が生え、背中には禍々しい大きな翼のある三つ目の魔物が二匹こちらへと近付いてきていた。
「うん? あーほんとだ、なんか黒いのが出たな。ピエール、知ってるか」
「はっ……恐らくは魔族のシャドーサタンではないかと。死の呪文を得意としている悪魔です」
「ふうん、悪魔かぁ。見た目ゴツいよなー。なんか強そうだけど……ちょっと退屈だしアレやっちゃおうかなー」
 プックルが発言の意図に気付いたようで、尻尾がだらりと垂れ下がった。
「……まーた始まった」
 その呟きにアンジェリークが反応を示してプックルに問い掛けるものの、尻尾を下向きにぶんぶんと振っている。
「プックル、またってどういうこと?」
「見てりゃ分かる。せいぜい死なないことを祈っててくれ」
 シャドーサタンが攻撃範囲に入ってきた途端リュカがすうと大きく息を吸い込み、大声で叫んだ。
「パ・ル・プン・テー!!!」
 これが古代呪文か、とルヴァが興味深げに成り行きを見守って、そして──どこかで何かが壊れる音がした。
「あれっ、何も起こらなかったなぁ」
 つまらなさそうに唇を尖らせたリュカの元へビアンカと子供たちが駆けつけて軽く睨む。
「こんなときに何やってるのよ、もう!」
「お父さん……ここでふざけるのはどうかと思います」
「HP1とかMP0になったらどうすんのさ!」
 妻と子供からの抗議に、リュカは頬を掻いて呟く。
「やーホラ、戦いにスリルがあったほうが白熱していいじゃないか」
 更に子供たちの全力の抗議が続く。
「そういうのいらないから! 真面目にいらないから!!」

 喧々囂々親子喧嘩が勃発している中で、シャドーサタンがアンジェリークへと攻撃を仕掛けてきた。
 即座にピエールとプックルがそれを遮り、二人の攻撃によってシャドーサタン二匹があっさりと倒されて砂と化し、戦いは終わりを告げた。
作品名:冒険の書をあなたに 作家名:しょうきち