Strangers(5/2 SCC発行本サンプル)
もうすぐ日が暮れようとしているが、北向きについている窓から光は入って来なかった。汚れた窓ガラスの向こうに、誰もいない中庭と明かりの灯った小さなホームがくすんで見える。サッカーもせずに、こんなうす暗い部屋で密会みたいなことをして、馬鹿みたいだと思う。
薄いTシャツ一枚になった涼野から不意に手をさし伸ばされて、反射的に襟首をつかむと、うすく微笑まれた。その他意のない、前ぶれも何もないところがちょっとヒロトに似ていて、俺はひやりとした。前までは、こいつとヒロトが似ているだなんて思ったこともなかった。
父さんがいなくなって、宇宙人はおしまいだと言われたのに、俺たちはいまだに半分宇宙人をやっている。
作品名:Strangers(5/2 SCC発行本サンプル) 作家名:haru