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 「兎に角、江戸川君はこのまま朝までこの家で休ませる事にするわ。あなた方は治療も済んだようだから、各々お帰り頂いて結構よっ!」
プイッと横を向いて告げられた言葉に、大人二人が渋い表情となった。

「あの・・・心配なので朝まで付き添っているわけには・・・」
「急変時の対応が、君だけでは大変なのではないかな」
「大丈夫よ。もうじき博士も子供達を各自の家に送ったら帰宅するでしょうから、何事か起きた時には対応出来るから。どちらかといえば、貴方達がここに居る事の説明をする方が大変なのよ」

さぁ、さっさと服を着て撤収してちょうだいと背後から体を押され、抵抗する事が可能な力ながら、大人二人は渋々リビングを後にする。
出る直前に、ソファーに横になっているコナンを見やり、赤井の口が小さく動く。
その事に気づいたのは安室だけだったが、あまりに小さすぎて告げている内容までは認識できなかった。


 各々の車に到着し乗車する前に、赤井が口を開いた。
「君の立場から考えると、あまりボウヤに接触しない方が彼の安全が保てるのではないかと思うが、如何かな」

告げられた言葉に、安室は息を飲んだ。
確かにノックの立場であっても組織に属している自分がコナンに頻回に接触する事は、組織の目を彼に向ける事になると理性では十分理解出来ている。だが、感情面では納得しきれない。ましてや赤井が自分以上にコナンと接すると言外に含まれている言葉に、簡単に頷けるわけがない。赤井もジンに異常なほどの執着と恨み・憎しみを抱かれているのだ。その赤井の生存が、今回の事で組織に漏れている可能性は否定できないのではないか?となれば、赤井がコナンに接触する事も彼の身を危険にさらす事になる筈だ。
「その言葉、そっくりあなたにも当てはまる筈ですが? 赤井」

胸元から煙草を取り出そうとして、着替えておいてきてしまった服の中に忘れてきたことに気づき、片眉を上げた赤井だったが、安室の言う事にも一理ある。現実には、沖矢昴としてコナンの傍に居る機会は安室以上に有しているが、それを馬鹿正直に告げる必要性は皆無だ。
「君ほどあからさまに接触をしてはいないから心配する必要はないさ。それに彼の周囲には些か頼りないが探偵もおり、警視庁との?がりも強い。自称発明家の博士も居る事だしな」

至極もっともな返答に安室はぐぅっと言葉を飲み込むしかなかった。
だが、自分は毛利探偵の助手的地位をそれなりに獲得出来ているし、探偵事務所の下のポアロで仕事をしている。毎日は無理でもコナンを見守る事がこの男より可能だと溜飲を下げた。
「心がける事にしますよ。あなたもコナン君を危険にさらさない様に注意して下さいね」
「言われずとも、そのつもりだ」
「何だってあなたは! そうカチンとくる言い方しか出来ないん」
「外でいつまでも煩いわよ!! 博士が帰って来るから、さっさと消えなさいっ!!」
安室が皆まで言う前に、玄関からの叱責が飛んでくる。
その声に、安室は首を竦め、赤井は肩を軽く上げて片手を軽く振ると車に乗って阿笠邸から出ていった。

「洋服はポアロに持って行くから。暫くはしっかり冷却を続けなさいね。じゃ、おやすみなさい」
残る形になった安室に、灰原が声をかけてから玄関を閉める。
鍵が降ろされる音を耳にしてから、安室は自分の車に乗った。

エンジン始動しつつ、出てきた屋敷の窓に灯る明かりを眺める。
その明りの下に、あの赤井を翻弄する少年が傷ついた身体を休めているのだ。
そう思うだけで、胸のあたりがキュッと引き絞られる感じがした。
ハンドルに腕を預けながら、頼りなげな細く柔らかな身体に収まる誰よりも強い意志と聡明な知性を持つ少年に、自分が深く惹かれている事をあらためて自覚する。

「赤井。あなたには負けませんよ。覚悟して貰いましょうか」
今は居ない男に向かい、そして自分に喝を入れる意味も含めて安室はそう口にして阿笠邸を後にした。


 「これからは、色々なところで安室君と鉢合わせる事になりそうだな。だが、彼を譲るわけにはいかんのだよ。彼は我々FBIの・・・いや。私が欲する相手だ。君に取られるわけにはいかない。何があってもな」
ジェイムズが借りている隠れ家に向かいながら、赤井はそう口にした。
明日からも沖矢昴として、宮野志保を見守りつつ、コナンの安全を守る。そうして彼との間に信頼と連携を築いていこうと決意を新たにする。

その想いの中に恋情が含まれている事に、いかな聡明な男でも気が付いていなかった。
作品名:protection and attachment 作家名:まお