機動戦士ガンダムRSD 第21話 蒼天の剣
オーブがコロニー国民の生命や財産を奪おうとするなら止めるのが私の使命ですから」
サオトメは、覚悟を言った。
「じゃあお前は、何処となら戦いたい?」
サイジョウ元帥が難しい質問をした。
「そうですね。
地球外生命体ですかね。
野蛮人とは、地球人内で通じるものであって地球外生命体には通じない。
これなら敵の母星を乗っ取ることもできますから」
サオトメは、少し考え冗談交じりに答えた。
「あ、やっぱり?
俺も」
2人は、笑いあった。
「コーディネイターは、自分たちを新たな種だと言っているからいいんじゃないか?
じゃないとこの戦争は、永遠に終わらないぞ」
サイジョウ元帥がサオトメに忠告した。
「そしてコーディネイターが二度と産まれないようにしないとダメですね」
サオトメがさらに付け足した。
※
地球・オーブ連合艦隊は、順調に進軍していた。
タケミカズチの艦橋ではユウナ、ネオ大佐、トダカ一佐とアマギ一尉が作戦会議をしていた。
「なるほどね。
黒海そしてマルマラ海。
私ならこの辺りで迎え撃つことにするかな。
海峡を出てきた艦を叩いていけばいいんだから。
そう考えるのが最良かと。
コロニー軍には、あのα艦隊がいるということだけれど作戦次第でしょう。
あれが要というのなら逆にあれを落としてしまえば奴等は、総崩れでしょうし」
ユウナが作戦を練っていた。
「さすがオーブの最高司令官殿ですな。
頼もしいお話です。
では、先陣はオーブの方々に。
左右どちらかに誘っていただきこちらはその側面からということで」
ネオ大佐は、切り込み隊はオーブ軍に任せた。
「ああ、そうですね。
それが美しい」
ユウナは、オーブの新しい力を内外に見せつける絶好のチャンスと感じ了承した。
しかしトダカ一佐は、ネオ大佐の思惑とユウナの客観主義にため息をついた。
「海峡を抜ければすぐに会敵すると思いますが宜しくお願いしますよ?」
ネオ大佐がユウナに念を入れた。
「ええ、お任せください。
我が軍の力とくとご覧に入れましょう」
ユウナは、コロニー軍の力を過小評価し自軍の力を過大評価していた。
※
α艦隊は、ダーダネルス海峡に近づいていた。
「ダーダネルス海峡まで距離3000」
ハーマン中佐が報告した。
「第一戦闘配備。
ブリッジ遮蔽。
対艦対モビルスーツ戦闘用意」
マーカー艦長が命令するとブリッジが下がった。
「対艦対モビルスーツ戦闘用意」
ミハイル副艦長が復唱した。
※
ア・バオア・クーの廊下をジャック中尉は、落ち着きなく歩いていた。
(戦闘から帰還してきた連中を見てるとこっちまで戦場に駆けだしたい気分になるよな。
おかげで書類整理がはかどらない)
ジャック中尉は、しばし無心になった。
(これは、ただの言い訳だな)
ジャック中尉は、自分に厳しい鉄槌を下した。
(あれ?
今部屋に入って行ったのは、ケイト中尉だよな?
使われてない部屋に入ったみたいだけど。
何をするのかな?
行ってみるか)
不審に思いジャック中尉は、ケイト中尉が入った部屋に入った。
部屋に入ると部屋の中は、質素な装飾がされておりケイト中尉がいた。
「何をしてるんだ?」
ジャック中尉がケイト中尉に声をかけた。
「野点の準備だよ」
ケイト中尉が楽しそうに答えた。
「のだて?
『のだて』ってなんだ?」
ジャック中尉は、初めて聞く単語にぽかんとした。
「作動愛好家の恒例行事なんです。
屋外でお茶をたてるの」
ケイト中尉が簡単に説明した。
「屋外じゃなくて屋内じゃん」
ジャック中尉が思わず突っ込んだ。
「『何でこんなところでやるんだ。
もっとちゃんとしたところを用意しろ』とミサキ中尉が怒ってた」
ケイト中尉がミサキ中尉の反応を教えた。
「なるほど。
言いそうだな」
ミサキ中尉は、純粋な日本人の血を引いているため日本文化に関して少々うるさい。
その時ジャック中尉は、何かに気付いた。
「こっちにおいてある傘は、使わないのか?」
近くには、少々ぼろい傘が置いてあった。
「これは、古いやつ。
今年新調したんだよ」
ジャック中尉は、少ない金でよくやると感心していた。
※
地球・オーブ連合艦隊は、攻撃準備を完了させた。
「よし始めようか。
ダルダノスの暁作戦開始」
ユウナが作戦名を言った。
しかしトダカ一佐とアマギ一尉は、どういう意味か分からずぽかんとした。
「なんだ知らないの?
ゼウスとエレクトラの子でこの海峡の名前の由来の。
ギリシャ神話だよ。
ちょっとかっこいい作戦名だろ?」
ユウナが名前に関して説明した。
「モビルスーツ隊発進開始」
しかしトダカ一佐にとって作戦名などどうでもよかった。
与えられた任務をこなすだけだった。
「モビルスーツ隊発進開始。
第一第二第四小隊、発進せよ。
イーゲルシュテルン起動、オールウェポンズフリー」
それは、アマギ一尉も同じでより明白な命令を出した。
※
それは、ガーティー・ルーからも確認できた。
「元気ですな、オーブは。
あれだけの遠征をしてきたというのに」
リー艦長は、オーブ軍の士気の高さに感心していた。
「必死になってもまだ守ろうとするものがあるからさ。
強いよね、そういう奴等は。
善戦してくれることを祈ろう。
ほんとにこれで今度こそあの艦隊を沈められればいいんだが」
ネオ大佐は、オーブ軍の健闘を祈った。
※
それは、リーンホースJr.でも確認できた。
「熱紋確認。
一時の方向、数20。
モビルスーツです。
機種特定、オーブ軍ムラサメ、アストレイ」
ヘルマン中尉が敵の方向、機数と機種を報告した。
「ガンダムサイガーMK-2および改、発進。
離水上昇取り舵10」
マーカー艦長が命令した。
カタパルトでは、カウントダウン表示が0になりガンダムサイガーMk-2の発進準備が完了した。
「アツシ・サオトメ、ガンダムサイガーMK-2出る」
ガンダムサイガーMK-2がカタパルトで射出され飛翔した。
ガンダムサイガー改もカタパルトに装着されるとカウントダウン表示が0になった。
「タカノリ・サイジョウ、ガンダムサイガー改出るぞ」
ガンダムサイガー改もカタパルトで射出され飛翔した。
直後オーブ艦隊は、ミサイル攻撃をしてきた。
2機のガンダムサイガーは、その攻撃をかわすとガンダムサイガー改が大型V.B.B.Rでミサイルを全弾迎撃した。
ガンダムサイガーMK-2は、モビルスーツ群に単機で突っ込むとメガ・ビームライフルで1機のM1アストレイを撃墜すると背後からの攻撃を回避した。
そして別の1機のM1アストレイをメガ・ビームライフルで撃墜した。
気にしては、いないといったもののこうして実際に戦うとやりきれない気持ちがこみあげてきた。
サオトメは、必死にそんな弱い心を押し殺すとカスタム・ビームザンバーに持ち替えると2機のM1アストレイを立て続けに上下真っ二つに切り撃墜した。
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第21話 蒼天の剣 作家名:久世秀一