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電撃FCI The episode of SEGA 2

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 花火のような光の中、一方的に攻められるままの一馬はたまらず、エスケープブラストを発動して智花を吹き飛ばした。
 智花と一馬の間に距離が開いた。状況はほぼ五分であった。エスケープブラストを使用してしまい、一馬はしばらくブラストを発動することができなくなったが、ゲージは十分にあり、切り札ももう一度だけ使うことができる。
 いかにして距離を詰め、コンボを決めるか、今はそれによって勝負が決まる状態であった。
 そして、先に動きを見せたのは一馬であった。しかし、動いたのは一馬自身ではない。
「頼んだ、真島!」
 吾朗の例の大きなスウェイ移動の切り上げ攻撃が智花に迫った。
「ひゃっ!」
 智花は後ろを振り返って吾朗の攻撃をガードした。しかしすぐ背後に一馬が迫っていた。
「蓮家閃気掌!」
 一馬の渾身の掌底が智花に襲いかかる。
「うらあああ!」
 一馬は切り札を発動し、攻撃後の隙を消した。そして更にコンボを繋げた。
 ゲージを一つ消費し、EX攻撃を放った。
「吹き飛べ!」
「あああ……!」
 一馬は強力なアッパーカットを打ち放ち智花を空中に打ち上げた。
「本気の本気で行くぜ」
 一馬はクライマックスアーツを発動した。
 闘気を込めた手で、打ち上げられて落ちてくる智花の襟首を掴んだ。
「おら、どうした!?」
 一馬は智花の顔面に頭突きを食らわせた。
「う……!」
 智花は頭突きの影響で目眩を感じ、ふらふらと立っているのがやっとであった。
「我、天啓を得たり……!」
 一馬は残像を残しながら手を動かし、構えを取った。残像を残すその様は、まるで千手観音のようであった。
 千手観音如く、手が沢山あるかのような動きの後、一馬は回転しながら裏拳を放った。
 裏拳の一撃は非常に重く、智花はきりもみ状に横へ吹き飛ばされていく。
「止めだ!」
 一馬は吹き飛んでいく智花を追い、側転するように宙を回り、止めの一撃として蹴り落としを放った。その一連の動きはまるで、龍が飛翔するが如くであった。
 一馬のクライマックスアーツが見事に決まったが、智花は体力をほんの僅かばかり残し、なんとか踏みとどまった。
「うっ、うう……!」
「僅かに届かなかったか。無駄に苦しませてしまったな」
 後一撃、何かを食らえば智花の体力は尽き、ノックアウトとなってこの勝負は一馬の勝利となる。しかし、そんな絶望的な状況下に置かれながら、智花の目はまだ勝利を諦めていなかった。
「……だめだよ、負けないっ!」
 智花はふらつきながらも、すぐに構え直した。逆境に置かれながら、智花は一馬をしっかりと見据え、けっして目線を反らそうとはしない。その瞬間、智花の体が赤く煌めき始めた。
 共有ポテンシャル、またはピンチポテンシャルと呼ばれる攻撃力増加のポテンシャルが智花に発動し、揺らめく炎のごときオーラを立ち上らせたのだ。
「これは……!?」
 一馬はこれほどの逆境に立たされながらまだ、闘志を向けてくる少女に、怯んでしまった。
 その瞬間を見逃すことなく、智花は一馬に突っ込んでいった。
 一馬は思わず、体力的に有利ながらも防御姿勢を取ってしまう。
 智花は守りに入った一馬に掴みかかり、投げ技を放った。投げ技によって一馬から強引にダウンを奪うと、智花は真帆らとセットプレイを仕掛ける。
「真帆!」
 真帆にパスがわたる。
「あいよ! 紗季!」
 次に真帆が先にパスを回す。
「はいっ!」
 紗季がシュートを打つ。しかしシュートはリングに弾かれてしまう。
「あっ!」
 紗季は思わず声を上げてしまう。
「だめぇっ……!」
 すかさず愛莉が現れ、リバウンドを取ってゴールにボールを放り込む。
 ゴールが見事に決まり、打ち上げ花火(ファイヤーワークス)が炸裂した。
「ぐおお! うわあっ!」
 一馬はガードしきれず、空中に弾ける花火に当たって激しく地面に叩き付けられた。
 地面に当たっては弾み、弾んだ瞬間を花火で地面に叩き付けられる、そんな状態の一馬は身動きが全くとれない。その隙を突いて智花はスティールをした。
 ボールに一馬を吸い込み、数回ドリブルすると、ボールをバウンドパスするように投げる。そして間を置かず、智花はブラストを発動した。
「続行!」
 智花の放ったコンボブラストによって一馬は空中に打ち上げられた。ブラストの効果によって、一馬は身動きがとれず、ダウン回避行動も取ることができない。
 きりもみ状に吹き飛ばされ、一馬は受け身をとることもできずに落下していく。
「ひなた!」
「おー、いくぞー! かくごー!」
 ひなたは智花からのパスを受けとり、得意のリバースショットを打った。ボールがゴールリングへ入った瞬間、連続した光が周囲に広がった。
 その光は、落下してくる一馬を捕らえ、ダメージを与えつつ空中に停滞させた。その瞬間を逃すことなく、智花はジャンプして追い討ちをかけた。
「行きますよ!」
 智花はゲージを使用し、一馬をボールに吸い込み、空中でワンハンドシュートを決めた。
「智花すごーい!」
 地上でひなたが智花のシュートを褒める声が聞こえた。
 智花は、ボールに吸い込まれ、身動きのとれない一馬よりも早く着地した。智花の背後に立ち上る真っ赤なオーラは小さくなり始めている。ポテンシャルが間もなく切れるという印であった。
 一馬も着地し、また自由に動けるようになる前に、智花は最後の止めにクライマックスアーツを発動した。
「これが私のチーム、みんな力を貸して!」
 智花はボールの一馬にダッシュして近付き、スポーツバッグを振り上げてもう一度一馬を空中に打ち上げた。
「一緒に行くよ!」
 智花はメンバーを全員呼び出した。
「いっくぜー!」
 真帆がパスを出す。
「おー!」
 ひなたがそれを受け取り、リバースショットを決める。その次に真帆は紗季にパスを回した。
「どうです……!?」
 紗季はミドルシュートを打ち、ゴールを凍らせた。
 ひなたのリバースショット、紗季の氷の絶対女王制(アイス・エイジ)の効果で、光るゴール、凍ったゴールの連続的攻撃が一馬を襲った。
「行きます!」
 愛莉がその間に、七色彩蕾(プリズマティック・バド)の力を宿した右手で、リバウンドを取る要領で、虹色に発色する殴打を放った。
 連続した攻撃によって、一馬の体力を削っていったが、倒しきるのには至らない。最後の智花の攻撃をもって止めとしたかったが、それでもやはり、倒すことはできない。
 しかし、そこで智花の秘策が輝く時が来た。
「一方通行さん! 打ち止めちゃん!」
 智花は一方通行を呼び出した。サポートキャラをダブルイグニッションすることによって発動できる、クライマックスサポートであった。
「ええ! ミサカもなの!? ってミサカはミサカは……きゃあっ!」
 打ち止めが戸惑っている間に、真帆の打ち上げ花火(ファイヤーワークス)の一部が打ち止めに当たった。
「調子乗ってンじゃねェぞ三下ァ!」
 一方通行の攻撃の対象は、打ち上げ花火(ファイヤーワークス)を作り出した真帆ではなく、何故か一馬に向かっていた。
 一方通行は怒り狂って、背中の黒い羽を振り回し、その先を一馬に向けて突き刺した。
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 2 作家名:綾田宗