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電撃FCI The episode of SEGA 2

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「終わりにするとすっかァ!」
 一方通行の声も聞こえた。相手はあと一撃何か食らえば倒れるような体力であった。
「お願いします!」
 智花は止めを一方通行のサポートに頼ることにした。
「いい加減飽きてきたぜ……!」
 そう言いながらも愉悦に満ちた表情の一方通行は、足下を蹴ってベクトル操作し、衝撃波を走らせた。
「ぐおおおお……!」
 一方通行のサポートが最後の一撃となり、ヨシトは気絶してコンクリートの上に横たわった。
「ヨッちゃん、おい、しっかりしろ!」
 ヨシトの仲間は彼を揺すり起こそうとするが、体力のバロメーターが尽きた状態ではしばらく気が付くことはなかった。
 そこへ一方通行が杖をつきながら歩み寄っていく。
「哀れだなァ、オマエ……」
「ひ、ひいい……!?」
「に、逃げろ!」
 一方通行の恐ろしい笑みに堪えかねて、ヨシトの仲間達は大急ぎで逃げていった。
「やりました、勝ちましたよ!」
 イグニッションデュエルが智花と一方通行の勝利に終わると、これまで姿を出せなかった皆が姿を見せる。
「やったな、もっかん!」
「トモ、ナイスプレイよ!」
「おー、ひな達の勝利ー!」
「やったね、智花ちゃん」
 真帆、紗季、ひなた、愛莉の四人は智花を囲んで勝利を喜び合った。
「やったー、勝ったぞー! ってミサカはミサカは面白そうだから勝手に混ぜてもらったり」
 打ち止めも智花達の輪の中に入っていく。
「……けっ、下らねェ」
 一方通行はそっぽを向き、首の装置のスイッチを切り、能力使用を停止させた。
「つーかよォ、クソガキ、テメェは今の戦いじゃなンもしてねェだろォがよ」
「むー、今のミサカはあなたの一部だからしょうがないじゃないってミサカはミサカは軽く憤慨してみる!」
 打ち止めは頬を膨らませる。
「うーん、確かに考えたらあたし達今回出番なかったな。もっかんとアックンばっか目立ってて」
 真帆も智花から呼び出されず、少し不服な様子である。
「はっ! まさかトモ、長谷川さんと離ればなれになったからって、一方通行さんに浮気っ!?」
 唐突に紗季が目を輝かせた。
「ふぇっ!?」
「あァ?」
 一方通行は気だるげに、智花はかなり驚いた反応を見せた。
「なにー、そうなのか!? すばるんとアックンとどっちがもっかんをゲットするか見ものだな!」
「おー、ひなはお兄ちゃん一筋だよ?」
「おい、待てガキども。いつからンな話しになったンだよ?」
「おっと? アックンはやっぱりラスっちに夢中か!?」
「ぬォ……!?」
 一方通行に僅かながら動揺が見られた。
「ちょっとちょっと真帆、何だか面白くなって来てない? 愛さえあれば歳の差なんてどうたらこうたらって……」
 真帆と紗季は怪しい話しに花を咲かせている。
「……ったく、うるせェガキどもが……」
 一方通行はため息をつきつつ、頭を押さえつつ首を捻ってごきごきと音を鳴らす。
「あの、一方通行さん……」
 智花がおずおずと声をかける。
「あン、ンだよ?」
 普段から気だるげなのが性根であるため、一方通行の答えは少し敵意に似た感情がこもっている。
「その……私は一方通行さんの事、素晴らしい方だと思ってますよ。だから、ええと……これからもよろしくお願いします!」
 智花は必死に言葉を繕い、頭を深々と下げた。
「うわー! もっかんがアックンに告白したぞ!」
 真帆はこの瞬間を見逃してはいなかった。
「おー、二人ともラブラブー」
「ふぇっ!? 私、そんなつもりじゃ……! いや、一方通行さんのことは嫌いじゃないけど……!」
 智花は大慌てである。なんとか一方通行を傷付けるような物言いにならないように考えるが、どうしても言葉が出てこない。
「アックンはどう? ラスっちともっかんどっちがいいの?」
「なァ……? 訳分かんねェこといってんじゃねェ!」
 打ち止めの名前を出されては、一方通行も落ち着いてはいられなかった。
「ムキになる所が怪しいな、これはもしかして……」
 真帆がよこしまな笑みを浮かべたその時だった。
「うおー!?」
「す、すげぇ!」
 野試合を観戦していた群衆がどっ、と沸いた。
「ンだ? うるせェな。まあ、ガキどもに比べりゃマシだがな……」
「むー、聞き捨てならないってミサカはミサカは……」
「黙ってろ」
 打ち止めを一言で黙らせ、一方通行は野試合の広場を見る。
「何があったんだろうね?」
「任せろアイリーン、この真帆様が突き止めてくるぜー!」
 真帆は言うと、小学生らしい小さな体を活かして人波の間を駆け抜けていった。
「ちょっと真帆!」
「おー、ひなもいくー!」
「なんだか面白そうだから、ミサカもミサカも行ってみるー!」
 ひなたと打ち止めも真帆の後を着いていってしまった。
「おい、テメェ!」
「もうみんなったら、私から離れるとどうなるか分からないのに……」
 この世界の性質上、メインキャラでもサポートキャラでもない者は、どちらかに付随する事によって存在している。
 そのため彼女らが智花からあまりに離れてしまうと、存在が消える可能性もあった。
「チッ、追うぞ。テメェらも着いてこい」
「私が先導します!」
 杖をつかなければ歩けない一方通行のため、智花は先に行き、群衆に道をあけてもらうように頼みながら進んだ。
 人の隙間をぬって進んだ先には、野試合の会場があった。グレーのスーツに身を包み、顎髭を蓄えた長身の男がそこにいた。
 その男と戦ったと思われる、智花達が戦ったギャングに似ている者が、地面に、体をピクピクと痙攣させ、伏していた。
 体力のバロメーターは尽きている。気絶してこれ以上戦えないようであった。
「あり得ねえよあのオッサン……。これで何試合目だ?」
 群衆の中から誰にともなく訊ねる声が聞こえる。
「十試合だよ十試合。しかもその内八試合二ラウンドパーフェクトだぜ……!」
「バケモンじゃねえかよそれ!?」
「ん? ちょっと待て、オレあのオッサンに見覚えあるかも……?」
 神室町にはその昔、伝説と言われる極道がいた。
 東城会という、関東随一の広域指定暴力団の元直系、堂島組の舎弟頭補佐を務めていた男がいる。
 その男は、極道でありながら情に篤く、無闇に暴力行為に及ぶことなく、決してカタギには迷惑をかけないことで、その道では有名であった。
 しかし、ある事件をきっかけに、彼は極道の道を追われることとなった。幼い頃から連れ添った親友を庇い、自分の属する組の組長を殺すという、親殺しの罪を被ったのだ。
 その後カタギの身になりながらも、その男は神室町で起きた極道界の事件に携わった。
 東城会の資金百億円が消えた時、その行方を追いつつ、同時に親殺しの罪を死で購わせようという東城会直系の組の構成員達に命を狙われ、彼は暴力の世界に身を投じる事となった。
 事件解決後、彼は東城会四代目会長に就任し、その日に引退した。その後極道の世界からは完全に足を洗い、百億円の事件にて知り合った幼馴染みの娘と慎ましく暮らすようになったのだった。
「あのオッサン、間違いない。桐生だ。堂島の龍、桐生一馬だ……!」
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 2 作家名:綾田宗