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電撃FCI The episode of SEGA 2

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「一本行くよ!」
 智花は自身の内部に宿る女バスメンバーに一声かける。
――おーッ!――
 メンバーの呼応する声が智花に響くのだった。
 次に仕掛けたのは一馬の方だった。
「行くぞ!」
 素早いダッシュで智花へと近付いた。手の届く間合いに入ると、一馬は智花を掴み上げ、連続して打撃を加える。
「ふっ、はっ、おらぁっ!」
「うっ、うわああ!」
 額に頭突きを、腹部に膝蹴り、そして殴打を加えて智花を吹き飛ばした。一馬の投げ技であった。
 もとの世界でこのようなものを食らえば、鼻や肋骨が折れて顔面は血まみれになりそうなものだったが、智花はダウンするだけで見た目には傷を負っていない。
「……平気です!」
 智花はすぐに立ち上がる。
「ふん、なるほど。確かにこの戦いでは傷付く事はないようだな」
 これまで何人かとイグニッションデュエルを行い、その内の誰一人として唇を切る事さえも、鼻血を出すこともしなかった。智花も例外なく外傷はない。
 一馬はそのルールが智花にもしっかり効くのかを試したのだった。
「だったらどんどん行くぞ!」
 一馬は接近し、小技で智花に攻めかけた。
「ひゃっ!」
 智花はボールを盾にして一馬の攻撃をしのぐ。
「なかなか守りが固いな!」
 一馬はハイキックを放った。しかし、足には何かを蹴った感覚はなく、すぐに蹴りを外してしまったのだとわかる。
「しまった!?」
 智花は、その小さな体を屈んで更に小さくし、一馬のハイキックをかわしたのだ。
 智花は一馬の攻撃をやり過ごすと、すぐさま攻め手に回る。
「よっ、えいっ!」
 扇で一馬の足元を狙い、ヒットしたのを確認すると、両手を突き出した。
「今っ!」
 智花はボールをドリブルし、崩れている一馬に向かっていった。そしてボールが一馬に触れると、一馬はボールの中に吸い込まれてしまった。
 智花はボールにした一馬をドリブルして地面に叩きつけることにより、ダメージを蓄積させた。
「えいっ!」
 智花はバウンドパスするように、地面にボールを叩きつけた。
「うおっ!」
 智花の手から離れた事により、一馬はボールの中から解放された。一馬は体の自由が効くようになると、受け身をとってダウンを回避した。
「やるじゃねえか……」
 一馬と智花の距離は離れており、少し近づかなければ互いに攻撃は届かない。しかし、智花にはこれほど遠い距離にいても、相手に攻撃できる技を持っていた。
「フリーだよ!」
 智花はパスを後ろに回す。その先には紗季が待っていた。
「はっ!」
 パスを受けた紗季は、空中に出現したゴール目掛けてロングシュートを放つ。
 実際のバスケの試合であれば、スリーポイントラインも超えるほどの距離であったが、紗季は見事にシュートを決めて見せた。
 また光が降ってくるのか、と警戒し、ガードを固める一馬であったが、降ってきたのはなんと、氷付けとなり、尖った氷柱のあるゴールそのものだった。
 氷の絶対女王政(アイス・エイジ)の放ったボールは、とてつもない冷気が込められており、ゴールが一瞬にして凍りついた。まさにそのような二つ名を持つ紗季らしい技であった。
「ぬうう……!」
 重くのしかかってくる氷ったゴールを防ぎながら、一馬はリフレクションガードを発動した。一馬の前に円盤状の光を放つバリアーが現れ、強風を起こして智花は後ろに大きく下げる。
 多段ヒットしてくる氷攻撃は強力なもので、一馬はガード硬直から抜け出せず、智花はリフレクションガードの強風を前にしても前進を続けた。
 やがて凍りついたゴールも、地面に落ちて砕け散り、一馬は攻撃から解放された。しかし、暴風に煽られながらも、智花は一馬の近くまで走り寄っていた。
 状況としては若干一馬が不利であり、まだガードを固めるしかなかった。一馬は先ほどの下段攻撃を警戒し、更に智花
の身長が低い事も考え、低姿勢で防御してしまった。
「甘いですよ! てりゃっ、たあっ!」
「なっ!? ぐお!」
 智花はスポーツバッグを手に、低くジャンプして振り上げ、一馬に向けて降り下ろした。
 智花のインパクトブレイクの一段目が決まり、二段目を上に振ることによって一馬を空中に打ち上げた。
 智花は一馬に追従し、扇と番傘で追い討ちをかけた。
「行きますよ……!」
 智花はコンボの終わりに、ボールを取って一馬を再びボールに閉じ込め、シュートを打った。
――やったわね、トモ!――
 見事にシュートを決めた智花に、紗季の声が響いた。
「やるな……」
 一馬はこれ以上の追い討ちを受けないうちに、急いで起き上がった。智花は反撃を警戒して少し間合いを空ける。
「一馬さん、まだ本気ではありませんよね?」
 智花は訊ねる。
「フッ、やはり見破られているか……」
 インパクトブレイクを食らったのはわざとではなかったが、その前の攻撃には少しの様子見としてガードしていた。
「本気で相手をすると言いながら恐縮ではあるが、少しお前の強さを計らせてもらった。そしてよく分かった。智花、お前になら俺の本気を受けきれるとな!」
 次の瞬間、一馬はダッシュで智花との僅かな隙間を埋め、智花に掴みかかった。
「ダメっ!」
 投げ技を読み、智花は両手を突き出して一馬を下げさせた。
「同じ手は食らわないか。ならば!」
 一馬は左半身になって右手に力を込め、拳ではなく掌底を放った。
「ふえぇっ!?」
 それは強力な中段技であり、智花はガードを崩されてしまった。
「蓮家閃気掌!」
 この技は、ある中国マフィアの長の拳法の師匠より教わった中国拳法であった。それは、腰を深く落とし、右手にためた力を一気に掌底として突き出すことで相手を吹き飛ばす強力な技である。
「諦めません!」
 智花はダウンから起き上がり、復帰する。
「来いよ……」
 一馬は指先をクイクイと振り、智花を挑発するような動きを見せる。
「むっ、見くびらないでください!」
 智花は滑走するようなダッシュで一馬との間合いを詰め、挑発して一見隙を晒している一馬に、スティールのようなボールさばきで攻撃した。
 ボールが一馬の一見隙だらけの体に当たった瞬間、智花の体は宙を舞っていた。
「古牧流虎落とし!」
 一馬は攻撃の当たる直前に合わせて智花の懐に潜り込み、空いた体にボディブロウを放っていた。
 こちらは、一馬が師事している古牧流綜合武術の師匠より指導された奥義である。
 虎落としという名の通り、一馬はかつて、本物の虎を相手にこの技を放っていた。そしてその効果は絶大で、猛虎にも十分な効き目があるほどだった。
「お見事!」
 しかし、本物の虎を気絶させた攻撃を受けても、智花は起き上がった。それでも、体力のバロメーターは相応に減っている。
 一馬の攻撃はまだ続く。智花と少し空いた間合いをダッシュで近付き、掴みかかろうとした。
「そんなっ!?」
 智花はまた投げ技が来ると思い、身構えて抜ける体勢を作ったが、抜けることが出来なかった。
 一馬は智花の後ろ襟を掴み、腰に手を当てることで上空を仰がせるように持ち上げた。
「どおりゃっ!」
 一馬はそのまま腕を伸ばして、智花を上空に放り投げた。投げられた智花は一馬の後ろ方向に落ちる。
作品名:電撃FCI The episode of SEGA 2 作家名:綾田宗