ヘレナ冒険録
[ドワーフ族] 『数あるモンタナの偉業の中でも、私が注目するのはなんといっても異種族の記録。言語学者の家に生まれた私がモンタナを超えるためには、これを活かさない手はない。まずは、ドワーフの鍛冶場を目指す』
「だからね、私が探してるのはモンタナって人が遺したすごく古い記録で……」
「昔、見たことがあるかもしれないラリ」
さて、ドワーフの鍛冶場に着いたはいいが。どうもこのドワーフ族というのはよく言えばおおらかなのだが、なんともゆったりとした種族だ。この調子ではおばあさんになってしまうぞ、ヘレナよ。人間の一生は短いのだ。
「ほんと!?」
「だけど、仕事に夢中でどこに置いたか忘れたラリ。探したければ、勝手に探していいラリ」
「……わかったわ。ありがとう」
リュックに手をかけるヘレナに熱がこもっているのが伝わってくる。この鍛冶場も暑いが、ヘレナの熱も負けてはいない。
「ふっ……探検、上等。冒険家の意地、見せてやるわ」
そうだ。ここから始まるのだ。しかと見届けてやるぞ、ヘレナよ。