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同調率99%の少女(12) - 鎮守府Aの物語

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「あぁ……駆逐艦担当の君たちは知らないか。色んなものに取り付けて飛行できるようにする装置のことだよ。それを取り付けたのが、艦娘の世界では攻撃機とか、偵察機として扱われるんだ。そして実際の船としての空母よろしく、空母艦娘も攻撃機や偵察機を発艦させて操り、深海凄艦を離れたところから攻撃して戦える、スペックの高い種類だよ。うちにはまだ着任してないけどな。」
「へぇ〜じゃあ私達駆逐艦よりも強いんですかぁ?」と村雨。
「スペック上はね。ただ俺は空母の艦娘を管理したことないから本当のところはどうだか。というか五月雨、君は初期艦研修の時に駆逐艦だけでなく他の艦種も一通り教わったって聞いたけど?」

 提督は説明をした後にふと気づいて五月雨に指摘をする。直後はポカーンとしていた五月雨だったが、すぐに顔を真赤にして慌てた様子を見せ始める。
「あ、アハハ……あのぉー。ゴメンなさい、忘れちゃってました。」
「な〜んだ!さみったら、実は教えてもらってたのぉ?それ早く言いなさいよぉ。」
 村雨が肘で五月雨の二の腕や脇を突っついてすかさずツッコんだ。
「うぅ〜、だから忘れてたんだってばぁ。」
 五月雨は困り笑いしながら村雨のツッコミをなんとか逃れようと身をモジモジと小刻みに動かす。時雨や高子はそのやり取りを見てアハハと苦笑いをして眺めて傍観している。
 提督も五月雨たち女子のイチャイチャ空間にまったりと飲み込まれようとしていたが話の流れを本来の流れに戻した。
「そうそう。操れるっていえば、那珂も一応艦載機を使うことができる艦娘の種類だったな。」

 提督は以前報告を受けた合同任務の時の那珂の行動を思い出した。鎮守府Aとしては当時は常備していなかったため持たさせられなかったため、那珂は任務のとき都の職員からドローンナイズドマシン、つまり超小型の飛行機を偵察機としてを使った。
 那珂から詳しくその時の状況を聞くために提督は那珂を呼んだ。

「お〜い、那珂。」
 突然呼ばれた那珂は提督の方を振り向いた。
「は〜い!なぁに提督?」
「ちょっといいかな?」
 那珂は三千花らと話していたがそれを中断し、飲み物を入れた紙コップだけ持って提督や村雨たちのいる一角まで歩いてきた。
「どしたの?」
「那珂は以前の合同任務のときに、偵察機を使ったって報告してくれたよな?」
「あ〜うん。東京都の人から借りたよ。それがなぁに?」

「こちらの大鳥さんのところの大学生の娘さんがね、どうやら艦娘らしいんだ。それも空母の。」
「空母?確か艦載機使える艦だったよね。ってかその人も艦娘なんだ!?」
「あぁ。それでさ、那珂も操ることができる艦娘だろ? みんなに説明して欲しいんだ。」
 提督は五月雨や高子らを手のひらで指し示す。そう促された那珂だったが少々困惑気味だ。
「って言われてもなぁ〜。あたしだってすべてわかってやったわけじゃないよ?本読んだことを試しただけだし。」
 そう言って那珂は合同任務の時につかった偵察用の艦載機たるドローンナイズされたおもちゃの飛行機を使った時の状況を説明した。その当時側にいた五月雨だがきちんと見ていたわけではないのでその説明に興味津々で聞き入っている。説明が終わると、五月雨はもちろん提督含め全員拍手をした。

「やめてよやめてよ!提督も拍手しないで!恥ずかしい!」
「いいじゃないか。俺も実際に動かした艦娘のこと聞けて嬉しいんだよ。それが那珂ならなおのことさ。」
「う〜〜〜あとで覚えてろよ提督ぅ。」
 自分が意図せぬ注目を浴びて恥ずかしがる那珂だったが、求められた説明は最後まできちんとした。那珂から艦載機を扱うことについて聞いた一同は思い思いの感想を述べる。

「すごいね那珂さん。あと空母の人もそういうことができるなら無敵じゃないかな?」
「うんうん!うちにも空母の艦娘来てほしいわよね〜。」
 時雨と村雨は素直に感想を口にした。
「なんかどういう話題っぽい?あたしも欲しい〜。」
「ゆうちゃん……話聞いてないなら変な入り方しないほうがいいよ……。」
 夕立はようやくモゴモゴした口が落ち着いていたのか、さきほどまで全然聞いていなかった提督らの話に突然入ってきた。そのため話題に乗り遅れたがとりあえず欲しがるという反応を示してみたのだった。それに五月雨が弱々しくツッコミを入れる。

「お姉ちゃんもそういうことできるんですね〜。すごいなぁ〜私もそういうことしてみたいなぁ〜。」
「ははっ。なんなら高子ちゃんも、うちの艦娘の試験受けに来てみるかい?」
「私なんか……お姉ちゃんやそちらにいる那珂さんみたいにすごくないし。」
 高子が羨ましそうに言葉を漏らしたのを聞き提督は彼女に誘いかけてみた。が、自信ないのか返事は芳しくない。

 それをそばで聞いていた夕立が無邪気に提案に乗った。
「あたしたちみたいな駆逐艦なら一緒にやれるっぽい?ねぇ高子ちゃん、一緒にやろーよ?」
 それに時雨が乗る。
「そうだね。まあ駆逐艦とも限らないけど、高子ちゃんに合う艤装が配備されるといいね。」
「うーん……機会があったら。」
「じゃあその時は、お母さんを連れて正式に試験受けに来てくださいね。」
 提督はややからかうように高子に誘いの言葉をかけた。高子は家族以外の大人から冗談めいた言葉をかけられて照れくさそうに「はい。」と答えて俯いた。
 五月雨は目の前にいる高子のことも気になるが、それよりも自分らの方の友人の白浜貴子のほうが心配で気になっていた。


「それはそうと。那珂だけじゃなくて、川内と神通も艦載機を使うことができるから、当面は3人がうちの最大のホープだな。」
 提督は何気なく那珂、そして離れたところで学校の友人と話に興じている2人を眺めて展望を口にする。
 那珂は口に出して返事こそしなかったが提督からその言葉を聞いて頷く。連装砲・魚雷でただ戦うだけではない、現状、川内型の3人にしかできないとされる艦載機の操作、その方面でも川内と神通の二人を教育し、適切な活躍ができればとなんとなく考えを膨らまし始めていた。

 ひと通り話すと、提督はその場を離れて明石たちのいる場に戻っていった。