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同調率99%の少女(12) - 鎮守府Aの物語

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--- 3 那珂と五十鈴



 那珂も五月雨たちの場から離れて三千花らのところに戻った。

「なんだったの、西脇さんと五月雨ちゃんたち?」
「うん。ちょっとね。艦娘の装備についての話だった。」
「ふ〜ん。」

 特に細かく言う必要もないだろうとふんだ那珂は三千花の質問に簡単に答えるだけにした。

 那珂たちはやはり身内の高校生で固まって会話に興じている。五十鈴も少し話すうちに同学年の三千花とも打ち解けあい、お互いの学校のことや趣味のことについて喋り合っている。
 一方で1年生組の川内、神通、三戸、和子は、唯一残った中学生の不知火こと智田知子を囲んで話している。不知火は神通・和子の近くにいることで妙な安心感を醸し出していた。話すよりも黙ってそばにいるだけで良いという雰囲気だ。ロビーで少し話した時以来、彼女は神通と和子の側にすぐに近寄っていた。

 そんな5人を2〜3人分離れた位置で見ている那珂たち高校2年生3人組。
「不知火さんさ、なんだか神通ちゃんとわこちゃんにベッタリだねぇ〜。」
「そうね。私もなんだかんだであまり話したことなかったから、彼女のことよく知らなかったけど……ああしてるとちょこんとしていて可愛いわね。」

「ねぇ、なみえ、それに五十鈴さん。」
「なぁに?」「何かしら?」
「私イマイチわからないんだけど、艦娘同士って仲良くしないものなの?」
 三千花の問いに那珂と五十鈴は顔を見合わせ、そして那珂がクスッと笑みを含んで答えた。
「そんなことないよ。あたしは五十鈴ちゃんはもちろん、他の子とも仲良くするし。」
「けど不知火さんとは……その、話したことなかったんでしょ?」
 本人に普通に聞こえてしまう距離にいたため、三千花は肝心の部分は小声で、そして言い方を変えて再び問いかけをした。その問いには五十鈴が答えた。

「いくら仲良くするしないといっても、私達はお互い普通の生活もあるし、結局のところ提督から出撃や遠征任務のスケジュールもらって動くから、どうしても一緒にならない・なれないケースも出てくるわ。それが彼女ってところかしら。」
「ま〜つまるところ提督の編成のせいってことですなぁ〜、ね、五十鈴ちゃん?」
「ん!ま、まぁそうね。……そうね、提督のせいよね。」
 一瞬言葉につまる五十鈴を見て那珂は瞬間的にいやらしい顔をする。真向かいにいた親友はそれを見逃さないが、あえてそれに触れなかった。

 二人の回答を聞いて三千花はさらに尋ねる。
「そうなんだ。改めて思うんだけど、西脇提督のやってることっていまいちわからないなぁ。なんだっけ、正式名称?さっき着任式のとき長い役職名言ってなかった?」
「ん〜あたし初めて鎮守府来た時に説明受けたけど、本当は支局長とか支部長とか、総責任者とか総管理者とかなんとか?」と那珂。
「そうそれ。それなのにIT企業の人?」
 三千花は疑問を投げかけた。すると五十鈴が話に乗ってきた。
「彼は普段のIT企業のお仕事と国のお仕事の二足のわらじを履いてるのよね。突然管理者に選ばれたって聞くし、苦労が耐えないと思うわ。」
「昼間はパソコンに向かってお仕事、夜は鎮守府で艦娘たちの面倒……西脇栄馬の実態やいかに!?」
 那珂は提督を茶化した冗談を口にしてわざとクネクネと悶える。それを聞いた三千花と五十鈴は苦笑しながらも那珂の冗談に揃ってツッコミを入れた。
「なみえったら……それじゃ西脇さんどんな変な人なのよ!」
「よ、夜の面倒ってあんたねぇ……冗談にも言い方ってもんがあるでしょう?」
 三千花は至って冷静に、五十鈴は那珂の言い方に良からぬ妄想を一瞬してしまい少しドモリつつも冷静にツッコんだ。


--

 その後3人はとりとめもない流行の話題や日常の話題で盛り上がる。そのうち三千花が思い出したように鎮守府の話題を口にした。

「そういえばさ、前に提督から説明受けたけど、艦娘や鎮守府って言い方、現場の人が使いまくって広まったんだっけ?」
 艦娘の世界に顔を出しているとはいえ一般人である三千花。彼女の発言に那珂と五十鈴は知っている限りのことと自身の感じ方をひと通り述べ始める。

「そうそう。本当の名前は長ったらしくて味気ない呼び方よねぇ。私は艦娘になった当初、他の鎮守府の艦娘とたまたま接する機会があってその時にその人たちに聞いてみたんだけど、みんな鎮守府っていう昔の海軍の基地?の名前で呼ぶのは、そのほうがカッコいいし一発で似たような存在感やその役割を表現できるからなんですって。」
「へぇ〜。そうなんですか。それじゃあ艦娘っていうのは?」と三千花。
「艦娘って言い方の由来は複数あるらしいわ。一つは艤装っていう艦船のデータを入れた機械を装備をする人、つまり艦の名を受け継いでその役割を担う人。だから艦になった女、または娘っていうじゃないかって。艤装と同調できるのは圧倒的に女性が多いかららしいわ。あとは大昔に流行ったゲームで、似たような言葉が使われていたって。死語にもなったその言葉を掘り起こして流用したんじゃないかって。もうネットでも探すのが困難なくらい文献が残っているかどうかもわからない、古いゲームらしいわ。まぁ私としては前者のほうが有力だと思うけどね。」
 五十鈴の長々とした説明に三千花はなるほど〜という表情をして感心して頷いた。

「へぇ〜って五十鈴ちゃんすんげぇ知ってるね。驚き〜。」
 五十鈴が説明している様子を見て那珂も素直に感心していた。五十鈴は照れくさそうにしながらも説明を続ける。
「ンンッ!あんたに褒められると調子狂うわね……。あたしはあんたと違って普段から真面目に調べ物したり頑張ってるんだから。……ともかくも、他にも由来みたいなの聞いたんだけど、どれも艦娘制度が始まった当初から使われてたそうよ。多分時期的な話だけは本当なのだと思うわ。」

 五十鈴の想像混じりの説明を聞いた三千花は呆れた様子で感想を口にした。
「今じゃ雑誌とかネットでも普通に現場から広まった言葉使ってるのよね。最初に艦娘って使った人すごいね。」
「うんうん。今じゃ普通に艦娘って言葉使ってるしね〜。もしホントだったら、『あたし艤装装着者になって、深海凄艦対策局および艤装装着者管理署○○支部に着任して活躍するんだ〜』とか言ってたのかと思うと舌噛みそうで大変〜笑っちゃうよね〜。」
 長々とわざとらしく正式名称を使う那珂の言い回しに三千花と五十鈴はほぼ同時に似たようなツッコミをする。二人からツッコミを受けて満足気な那珂は両腕を後頭部に回して組みながらエヘヘと笑ってごまかした。