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艦隊これくしょん―艦これ― 第2艦隊健在なり

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「こちら時雨。敵艦隊と砲火を交え、敵軽巡洋艦1隻を大破させた。こちらは僕と五月雨、ともに小破程度のダメージしか受けていない。追撃するかい?」
『こちらオケアヌス1。現在、敵軽巡洋艦は爆破炎上中。敵艦隊は撤退しようと、方位100へ進行中』

 寺西は判断を迷った。彼は顎に手を当て考えると、時雨に下命した
「現時点をもって作戦は終了。敵残存艦隊とは距離を取りつつ撤退してほしい」
『まだ戦えるだけの余力はあるけど、撤退して良いんだね?』
 彼は深く頷く。
「撤退してほしい」
『了解。第2艦隊は作戦を終了し、横須賀鎮守府へと帰還します』
 彼は一息つくと、背もたれにより掛かった。目をつぶって今は終わった安心感を噛みしめる。顎から一滴のしずくが落ち、彼の全身を冷め切らせた。

 翌日の早朝、時雨たちは横須賀鎮守府へと帰還した。寺西はドックの場所で彼女らを出迎える。まだ朝日は出ていないが、凪いだ海は深海棲艦との争いをひととき忘れさせる。
「第2艦隊、無事帰投したよ」
 時雨と五月雨は、身につけているセーラー服にいくつかの焦げ跡のような汚れをつけていたが、大きな怪我は見受けられなかった。
「2人共無事で何よりだ。どこか怪我したりとかはしているかい?」
「私がちょっと」
 そう言うと、五月雨はセーラー服の上着を少しまくると、脇腹に打撲跡が残っていた。
「巡洋艦の主砲が防ぎきれなくて、直撃しちゃいました……」
「これは痛いね……すぐに入渠に行ってくれ」
「はい、分かりました!」
 五月雨は敬礼すると、すぐに整備棟の方へと向かっていった。
「さて、僕は戦闘詳報を作るとするかな」
「ん? 戦闘詳報はゆっくり休んで、明日書いてくれても構わないけど」
「いや、僕が忘れないうちに書けるところは書いておきたいだけさ。じゃあ長官、おやすみなさい」
「ああ、おやすみなさい」
 そう言うと時雨は、艦娘寮の方へと向かっていった。

 朝礼が終わると寺西は富山長官に呼ばれ、彼の執務室へとやってきた。
「失礼します」
 寺西が部屋に入ると、富山は椅子に座って待っていた。
「ああ、待ってたよ」
 富山は寺西の姿を確認すると椅子から立ち上がり、後ろ手に手を組んだ。
「さて、昨日の戦闘はどうだった?」
「あ、戦闘詳報でしたらこちらに」
「それも大切だが、今は艦娘の報告ではなくて、君の感じて、思ったことを報告してほしい」
「そうですか、分かりました」
 そう言うと、ぽつぽつと寺西は今回の出来事を報告した。戦闘が始まってからはちゃんと指示を出せていなかったこと、敵軽巡洋艦を大破させれば十分と考え、追い打ちをしなかったこと。そして
「やはり、長官のおっしゃられたように、艦娘たちを人間とは違うものだと考える考え方に馴染めません。いくら彼女たちが艦娘だと言っても、彼女たちが傷を負って帰ってくるのは忍びないです」
 富山は右手を顎にあてる。
「確かに、彼女たちが怪我をして帰ってくるのは辛い。だが、今は深海棲艦との戦争状態なんだ。こっちが身を守っている間に、民間人を危険に晒してるんじゃあ、俺達のいる意味が無いだろう」
「その通りです」
「だから言い方は悪いが、こればっかりは慣れてもらうしかない。それでも彼女らを傷つけたくないなら、君と彼女たちが深海棲艦から手出しできなくなるくらい、強くなればいいさ」
「……分かりました」
 寺西は少し気落ちした様子で、部屋を出て行った。そんな彼の姿をみて富山は苦い顔をして後頭部を掻いた。