艦隊これくしょん―艦これ― 第2艦隊健在なり
第3章
第2艦隊が斥候部隊を撃退してから3日がたった。あの迎撃作戦以来、深海棲艦は日本近海では目撃されておらず、つかの間の平和を味わっている。寺西長官は、夕食の配給のトラックがロータリーまで来ていたため、その荷物おろしを手伝っているところである。
「これで全部ですね」
明るい青色の作業服を着た自衛隊員が寺西のもとにやって来た。
「はい、ありがとうございます」
寺西がそう言うと、隊員は一礼してトラックへ素早く乗り込み、トラックを出した。寺西は全員分の夕食の入った小さなコンテナを1つ持ち上げると、食堂の方までそれを運ぶ。しかし、コンテナの中身とコンテナ自体の重さがだいぶ重く、少し運んだだけでも手が圧迫され、腕の筋力を要求され、へばりながらもなんとか食堂へと運んでいく。
食堂は木製の大きな長机が2列に並んでおり、その両脇には背もたれのない丸椅子が置かれている。今の時間は、西側の窓から炎のような明るいオレンジ色の夕日が差し込み、食堂全体を茜色に染め上げている。。奥の方には簡素なカウンターで仕切られた調理場があり、一般家庭にあるキッチンより一回り大きい、7、8畳ほどのキッチンが用意されている。とは言っても、ここの鎮守府は多忙を極めるため、食事は先程のように自衛隊に任せきりのため、キッチンに物があまりない。
すべてのコンテナをなんとか食堂に運び込み、寺西は割烹着を身につけて食器類の用意をし始めた。その時、食堂に3人の人影が現れた。寺西は振り返る。
「お疲れ様、明石。夕食の準備ができるまでもう少し……って、後ろの方々は?」
「新しい艦娘が完成したので、長官にご報告に参りました!」
明石の後からついてきたのは、2つのお団子がついた黒髪ツインテールで、やけに自身に満ち溢れている女の子と、同じく2つのお団子がついた茶髪ツインテールで、どちらかと言うとかわいらしい印象を受ける女の子であった。また、茶髪の子は五月雨と同じくらいの歳に見えるが、黒髪の女の子は中学生くらいに見える。まずは黒髪の子が何やら腕を振り上げてポーズを取る。
「艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー。よろしくー!」
茶髪の子は腕を組みつつ、目を合わせないで挨拶する。
「満潮よ。私なんでこんな艦隊に配属されたのかしら」
作品名:艦隊これくしょん―艦これ― 第2艦隊健在なり 作家名:瀬戸信浩