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艦隊これくしょん―艦これ― 第2艦隊健在なり

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 どうやらどちらもとても個性的な性格をしてるようだ。艦娘の年齢といい、性格といい、寺西は頭を痛めた。
「僕は横須賀鎮守府所属、第2艦隊司令長官の寺西少佐です。これからよろしくお願いします」
 彼はそう言って手を差し出した。那珂は両手で激しく上下するように握手をしてくれ、満潮は渋りつつも、仏頂面で握手をした。
「さあさあ、あとは司令部棟の案内だけしますから、私についてきてくださいね!」
 そう明石が言うと、2人を押すように食堂から出て行く。寺西は軽く肩をすくめると、食事の準備に戻った。

 夕食後、寺西を含む第2艦隊の面々は会議室に集まった。寺西の手元には分厚い資料が握られている。
「集まってもらってありがとう。今から作戦会議を行う」
 そう言うと、寺西は分厚い資料に目線を落としつつ、ホワイトボードに作戦海域の海図を投影した。
「作戦が行われる海域は南沙諸島南西部。南沙諸島は深海棲艦の侵攻で失われているんだけど、この海路はマレーシア、インドネシアとの貿易を行うための大切なルートだった。そこで我が第2艦隊は、この南沙諸島南西部の制海権を確保し、マレーシア、インドネシアへの航路を再開させることにある」
 寺西が手に持っているリモコンのボタンを押すと、今回の作戦で使われる予定航路が表示された。
「今回はこの航路を進むわけだが、流石に何日もかけて生身の君たちを送るわけにもいかない。そこで、君たちには海上自衛隊の護衛艦隊に乗船させてもらって、作戦海域まで移動することになる。あと、」
 そう言うと、寺西は那珂へと視線を向ける。視線を向けられた那珂は那珂ちゃんスマイル。
「今回の作戦は、試験的に那珂に旗艦を任せようと思う。時雨、那珂、それでいいかい?」
「かまわないよ。いつか那珂さんに任せようと思ってたんだ。それが今だったってだけさ」
「わっかりましたー! 那珂ちゃん、艦隊のセンターとして張り切っちゃうよ!」
 寺西はふっと頬をほころばせる。
「よろしく頼むよ、なにか質問はある?」
 時雨がすっと手を挙げる。寺西はうなずくと、手を時雨の方へ向けた。
「この作戦が成功すると具体的にどういった資源が確保されるんだい?」
「今回の作戦海域になっているマレーシア、インドネシアは石油、天然ガスなどの資源を産出している。だから、この作戦が成功すれば燃料が継続的に手に入る事になり、僕達の行動がかなり楽になるって訳だね」
「ということは、深海棲艦がこの作戦を妨げるために、大きな戦力をさく可能性も十分にあるわけだね」
 時雨が懸念を寺西に伝える。
「確かにそうかもしれない。彼らにそこまでの統率と、判断能力があるかどうかはわからないけどね」
「なによ、はっきりしないわね」
 腕と足を組んで、右足をぶらぶらさせている満潮が噛みつく。
「その近辺の海域での深海棲艦の目撃情報もないわけ?」
「あ、いや」
 そう言うと、寺西は手元の資料を急いでペラペラとめくる。
「この海域では軽巡洋艦を主力とする、水雷戦隊が中心に活動を行っているらしい。数は6隻ほどが見られる事が多いから、僕達の艦隊でも十分に太刀打ちできる」
「そう、その規模なら大丈夫そうね。全く、私が今言わなかったら、敵がどの程度の規模かっていう、作戦を考えるうえで本当に基本中の基本のことも分ってないじゃない。長官殿はこんなことも把握せずに作戦指揮を取ろうとするなんて、責任ある立場として恥ずかしく」
「満潮」
 話の途中で、時雨のはっきりした声が会話を中断させる。満潮は寺西を軽く睨みつける一方、寺西は悲しげな表情をして俯いていた。
「長官はまだ着任して半月と経ってないんだ。確かに指摘すべき点はあるけど、言い方ってものがあるんじゃないかな?」
「何いってんの! この長官が作戦指揮する人ってことは、私たちはこの人に命を預けなきゃならないわけでしょ! こんなペーペーに私の命は預けられないわ!」
「じゃあどうするんだい? もともと軍艦だった僕達が、上官に従わないことの意味はわからないことはないと思うんだけど」