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艦隊これくしょん―艦これ― 第2艦隊健在なり

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 そう言うと、富山は立ち上がり伸びをする。寺西も同時にその場で立ち上がる。
「ふう、さて。今日はこれから鎮守府内の案内と、私室の片付け、あとは仕事場の整備を行ってもらおうと思ってる。まずは司令部棟内の案内を俺がしよう。宣誓書にサインし終えたら、書類をこのトートバッグにいれて、この部屋を出ようか」
「了解です」
 寺西は契約書にサインをすると、それを富山に渡す。
「よし、これでOKだな」
 そして、無地の白いトートバッグに書類を入れると、契約書を受け取った富山と共に部屋を出た。

 日本海軍横須賀鎮守府は煉瓦造りの司令部棟を中心ととして、広い空間にいくつかの建物が建っている。この司令部棟は過去の艦の生まれ変わりである艦娘たちに配慮して、外見が煉瓦造りであると同時に、内装も意図的に昭和の頃の雰囲気に近づけているデザインが施されていた。具体的には、窓枠や廊下の床には樺茶色の木が使われていたり、壁紙の色がカスタード色であったり、電灯が温かみのある裸電球であったりする。一方で、報知器や監視カメラ、クーラーといった現代のものが置いてあるため、何かまぜこぜだという印象が拭えない。
「宣誓書だけ仕舞ってくるから、部屋の前で待っていてくれ」
 そう言われて寺西は、部屋の前で待つことにした。ドアからのぞく彼の執務室は廊下と同じく、落ち着いた昭和の仕事部屋と言うイメージであった。壁紙は廊下と同じカスタード色で、床には緑の絨毯が敷き詰められている。執務に使われる机と椅子はがっしりとした樺茶色の木製のものであり、執務室に厳格さと重厚さを与えている。
 富山長官は宣誓書を机の上に置いてあったフォルダーに入れ、部屋の外へと出て来るなり
「よし、まずはこの司令部棟を案内しよう」
 と言ってすぐに歩き出した。寺西もその後に続く。



 司令部棟の内部は各階が3つの中部屋と1つの大部屋で構成されており、階層は4階までになっている。先ほど立ち寄った富山長官の執務室は2階で、応接室は1階になっている。
 富山が2階の部屋の説明をパットすると、3階へと寺西を案内した。
「3階に君の私室と執務室があるから、場所をしっかり覚えておいてくれ」
「分かりました」
 2人は寺西の私室へと足を踏み入れた。入ってすぐの左側へ広がるこの場所は、キッチンのスペースだ。この部屋の左の壁に沿って台所が設けてある。コンロは大小2つ用意してあり、シンク、調理台を含めると手を広げるより少し広いくらいのスペースが確保されている。キッチンの反対側には、バスルームが設けてある。脱衣場はないが、キッチン横にあるトイレと別になっていた。バスルームの隣のドアを開けると、6畳の和室があった。部屋の奥側はバルコニーになっており、そこからは横須賀の青々とした海が視界いっぱいに広がり、さんさんとした太陽光が降り注ぐ。
「ここまで景色がいいと、まるで旅館に来ているようですね」
「そうだな。こんな部屋で暮らせるなら、鎮守府暮らしも悪くないだろ?」
「はい」
 寺西が畳の中心でぼんやりと外を見ていたが、満足したのか部屋を出ようとしたため、富山が案内を再開した。
 一方で、隣にある執務室は、私室と同じ広さで仕切りがない部屋であった。この部屋は先ほどの富山の執務室の真上にあり、部屋の広さも同じものとなっていた。しかし、置いてあるものが寺西持込の荷物だけであることから、先ほどの部屋より広い印象を与える。
「ここの執務室と隣の私室は少佐がやりやすいようにしてくれて構わない。だが、自衛隊が視察とかで来ることもあるから、見られても恥ずかしくない程度には留めておいてくれ」
「了解です。自衛隊の視察は頻繁にくるんですか?」
「いや、そこまで多いわけじゃないが、年に2回は来る。あと、作戦の会議は頻繁に行われているから、その時に執務室を使うこともあるかもな」
 2人が話していると、ドアが控えめにノックされる。寺西はふと富山を見たが、彼は思わせぶりな視線を彼に向けるだけだった。仕方なく、寺西は控えめに
「どうぞ?」
 と言った。ドアを開けたのは、黒い髪を三つ編みに編んだ、中学生くらいの見た目の持ち主にしては、歳不相応に落ち着いた雰囲気を持った女の子であった。 先ほどの大淀の登場にも驚いた寺西は、目の前に現れた人物のあまりの幼さに軽い立ちくらみを覚えた。
「時間ピッタリだ。ほら、こっちに来てくれ」
 富山がそう言うと彼女は部屋へと入り、寺西に向かって敬礼する。
「ボクは白露型駆逐艦の時雨。これからよろしくね」