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Lovin' you 6

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「…ハヤト、ごめん。私がカツを巻き込んだから…、カツは…」
ーーー私がシャイアンから脱走する時にカツをフラウ達から引き離して、戦争に巻き込んでしまった…。そのせいでカツは命を落としてしまった。まだ、15歳だったのに…。
「アムロ…。お前のせいじゃない。お前が連れ出さなくてもカツは宇宙に上がってたよ。だから気にするな。」
ハヤトはアムロの肩をポンポンと叩くと少し悲しげに微笑んだ。
「ハヤト…」
「それより、ダカールで何も言わずに勝手に帰っちまって!心配しただろ!クワトロ大尉と何があったか知らないが、その後の大尉は見てられないくらい…」
と、アムロの辛そうな表情に言葉が止まる。
「すまん。お前にも色々事情があったんだよな。…、で、何でここに?」
「カミーユがダブリンにいるって聞いて、会いに来たんだ。」
「カミーユ!?俺も会いたいな」
ハヤトはブライトを振り向きながら尋ねると、「カミーユの状態による。待ってくれ、確認する」とインターフォンで医務室に連絡を入れた。が、しかし応答が無い。
「おかしいな。ファがいる筈だが…。」
「あ、カミーユ…、今モビルスーツデッキにいる…」
アムロが呟くのを聞き、ブライトとハヤトは慌ててモビルスーツデッキへと駆け込んだ。
そこにはコアファイターにカミーユとファを乗せて発進しようとするジュドー達がいた。
「お前達!何をしている!!」
「カミーユをコロニーが落ちるトコになんか連れて行けないから、グラスゴーの街に降ろすんだよ!」
「艦長!私がジュドーに頼んだんです。お願いします。カミーユを降ろさせて下さい!」
ファが叫ぶが、ブライトは艦長として勝手な行動を許可することは出来ない。
それに、これから救助活動を行う為にもカミーユに割く機体は無かった。
言い合いをしていると、カミーユが飛び降り、走り出す。ビーチャに取り押さえられてもカミーユはもがき続けた。
そんなカミーユにハヤトはカツの姿を見る。
「わかった。私の乗ってきた飛行機を使うと良い。私はドダイで帰る。」
ハヤトは側に来ていたアムロにも視線を向ける。
「アムロ!お前も一緒に行け!蒼い顔して!カミーユ同様お前も辛いだろう?」
「ハヤト…。」
ハヤトの優しさに涙が出る。

アムロがカミーユとファと共に飛行機のもとに行くと、ジュドーがトントンとアムロの肩を叩く。
「お姉さん…。あのさ、俺、事情はよくわかんないけど、あんまり一人で全部背負わなくても良いと思うよ。赤ちゃんの為にもさ命を大事にしてよ。」
その言葉に不器用なりにジュドーの優しい心が伝わってくる。
「うん、ありがとう。ジュドー」
「それから、カミーユ。後は俺たちが頑張るからさ、任せてよ!」
返事は返ってこないだろうと思いつつカミーユに語りかけたジュドーだが、カミーユが振り返り「ああ…、ジュ…」とジュドーの名を呼ぼうとした。その瞬間、カミーユ、ジュドー、ビーチャ達、そしてアムロの周りに宇宙が広がった。
アムロはジュドーに「伝わったよ」と優しく告げると二人と共に飛行機へ乗り込み、アーガマを後にした。



そして、それから5年後の宇宙世紀0093年。
アムロの不安は的中し、シャア・アズナブルはネオ・ジオンの総帥に就任し、地球連邦軍へ宣戦布告をしたのだった。



section17

UC0093
外郭新興部隊ロンド・ベル隊。その主要艦であるラー・カイラムの自室でアムロはネオ・ジオンによるラサへの5thルナ衝突を阻止できなかった事を悔やんでいた。
衝突の瞬間、人々の恐怖と悲しみの思惟が嵐のようにアムロの頭を駆け抜けた。
アムロはその時の感覚を思い出し体を震わせる。
「あの人は何て事を!!スペースノイドの自治権獲得の為とはいえ、罪も無い人々を犠牲にするような作戦を敢行するなんて!」
ーーあの人をこんな風にしてしまったのは私なんだろうか…。優しい人だったのに…。
それに、リ・カズィじゃあの人のサザビーに手も足も出なかった。
「早くアナハイムにνガンダムを受領しに行かなくちゃ。その時にはあの子達にお別れを言わなきゃいけないかもしれないな…。」
アムロは唇を噛み締め、涙が溢れるのを堪えた。


数日後、アムロは予てから自身で開発をしていたνガンダムを受領する為、月のアナハイムエレクトロニクス社を訪れた。
「アムロ!」
小型艇専用ドックに到着すると、到着ロビーにアルと子供たちが出迎えに来ていた。
「アル!カイル!ライラ!」
アムロは子供達を抱き締めると二人の頬にキスを贈る。そして立ち上がるとアルの頬にもキスをする。
5年前、アナハイムエレクトロニクス社へメカニックとして入社した時にアルとは夫婦として偽装IDを作成し、子供と共に月に移住した。二人目の子供が生まれるアムロがシングルマザーでは目立つだろうとのアルからの提案だった。
また、夫兼主治医として薬物耐性に問題のあるアムロの出産を助ける為でもあった。
月で生まれた二人目の子供は、父親譲りの金髪にアイスブルーの瞳。そしてアムロに似た顔立ちの女の子だった。父親であるあの人の母親の名前と、かの少女の名前を少しずつ貰い、ライラと名付けた。
「アムロ、今日の予定は?」
「今日はみんなでゆっくり過ごして、明日からνガンダムの調整に入ろうかなって思ってる。」
子供達は「やった!!」とアムロに飛びつくと
街に向かって歩き出した。
四人はレストランで食事をしたり、公園で遊んだりして久しぶりに団欒の時を過ごした。
アナハイムの社員宿舎に戻り、子供達を寝かしつけると、リビングにいたアルにアムロは話を切り出す。
「アル…あのさ…」
「アムロ、実は僕、先週付でアナハイムの医局を退職したんだ。」
アムロの言葉を遮るようにアルが話し出す。
「え?」
「二人を連れてロンデニオンに行こうと思う。」
「アル!?」
「君、あの人と刺し違えてでも…とか考えてない?だから今日、二人にお別れをする為に時間を取ったんだろう?」
「っ…!」
アムロは図星を指され言い淀む。
「だって…、多分あの人はこの先、ラサに5thルナを落とす事よりも更に大掛かりな事をするつもりだ…。それを止めるには相応の覚悟が必要だから…。」
拳を握り締め、苦しそうに言うアムロの両肩を掴むとアルは少し強い口調で言う。
「アムロ!君の気持ちはわかるけど、あの子達も決して無関係では無いんだよ。彼にあの子達の事を伝えたいんだろう?戦うよりもまず、話し合いは出来ないのかい?」
「アル…。でも…今のあの人にそんな事が出来るだろうか…。それにもう昔のあの人とは違うかもしれない。」
「諦めちゃダメだ。僕も協力するから。ね?だから、お別れなんて悲しい事は考えないで。」
アルはそっとアムロを抱きしめる。
『クワトロ大尉、僕は貴方との約束を守って"医師"としてアムロを守ってるんですよ。貴方がアムロをもう求めていないならこのまま貰ってしまいますよ!』
アルは遥か彼方にいる金色の男へと心の中で告げる。


νガンダムの調整を終えたアムロはラー・カイラムへと戻り、アルと子供達は一旦地球のセイラの元へ行き、それからシャトルでロンデニオンへと向かう事になった。
作品名:Lovin' you 6 作家名:koyuho