檻
「ご苦労様」
少年が数人乗っているワゴン車の後部ドアを開けると、待っていた帝人から声をかけられる。青葉は一瞬安心したような表情を浮かべるが、1人では乗せられないため引きずってきた臨也をその場に下ろす
「さっさと車に乗せて。君たちは掃除を頼むよ」
車に乗っていた少年たちは帝人の命令に従い、二手に別れるとインクの後を消すために去っていくのを見送り、臨也を車に乗せる。
「まだ心配だよね」
薬を嗅がせていてもまだ安心出来ないと、帝人もたっぷりのクロロフォルムをハンカチに染み込ませ、青葉が含ませていたハンカチを取り出して変わりに押し付ける。
「う…っ、ぐ…ぅぅ」
帝人に鼻と口とを同時に押さえられたせいで息が出来ずに無意識に暴れだす臨也の上に乗り上げ暫く待つ。
「帝人先輩、そんなに吸わせて大丈夫なんですか?」
青葉も嫌いな相手とはいえ命に関わるかも知れないと思えば帝人の機嫌を伺うように上目遣いで問いかける
「臨也さんだから平気だよきっと」
気にした風もなく臨也の上から退くと車を出すように告げて汚れたジャケットを脱がせる。
「全部脱がすとさすがに風邪引いちゃうかな」
臨也の腕を背中に回して手錠をかけ、首輪をつけると寝やすいようにと帝人は臨也の頭を自分の膝の上へと乗せ、出発するように命じる。