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Lovin' you after CCA 2

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「あ、いえ。勝手に取り引きめいた事をしてしまって…。すみません。それに見苦しい映像もあったでしょう?自分ではあまり内容を確認していないので役に立つかわかりませんが…」
それはアムロが拷問の様な実験を受け、泣き叫ぶ映像…そして瘦せ細り、心肺停止となった無残な映像。アムロはその時を思い出すのが怖くてデータを見ることが出来なかった。
ナナイは目を伏せ、首を振る。
「いえ、本当に貴重なデータです。必ず役立ててみせます。」
その言葉にアムロは「ありがとう」と小さく頭を下げる。
すると横からカイルが顔を出した。
「お母さん…」
カイルはアムロを気遣う様に声をかける。
『本当に人の機微に敏感な子だ…。』
「カイル!!おかえり!」
アムロは不安を顔に浮かべるカイルをギュッと抱きしめる。カイルはアムロの胸に顔を埋めるとアムロにしがみついた。


そんな2人を見つめながらシャアはライラを床に下ろし、ブライト達へ視線を向ける。
「ブライト艦長。忙しいところを呼び出して申し訳無い。」
ブライトと握手を交わすとブライトをソファへと促す。
「クワトロ大尉、いや、シャア総帥。それで要件はとはなんですか?」
シャアとブライトはソファに向かい合わせで座り、ナナイとギュネイはシャアの後ろに控える。同じくジュドーもブライトの後ろに控えるとシャアはアムロを自分の隣へ座るように促す。
子供達はアルに連れられ、少し離れたダイニングテーブルへと移動した。

シャアはブライトに向き合うと隣に座ったアムロの手を握る。
驚いたアムロがシャアを見るが、シャアの視線はブライトへと注がれたままだった。
「連邦政府より停戦条約の補償としてネオ・ジオンへの監視を付けたいとの要望があった。」
「監視…ですか。」
ブライトが訝しげにシャアを見る。
「ああ。連邦政府のお偉方は私がまた何かをするのではないかと気が気でないらしい。」
ふふんと笑うシャアにブライト呆れ顔でため息を吐く。
「まぁ、前例があるだけに当然の要求といえば当然ですな。それで?」
「連邦政府の高官たちはその監査役をロンド・ベルにやらせると言ってきた。」
「はぁ…。というか貴方がそう仕向けたでしょう?」
シャアは「どうかな?」と胡散臭く笑う。
「それで、できればその役割をラー・カイラムにやってもらいたい。」
ブライトは更に大きなため息を吐く。
「貴方、アムロを側に置きたいだけでしょう?」
「当たり前だ!この1ヶ月アムロに会えなくて気が狂いそうだった。」
と隣に座るアムロの肩を抱く。
「シャ、シャア!!」
「分かりました。引き受けましょう。」
ブライトは更に盛大な溜め息を漏らすとその依頼を請け負った。
シャアは困り顔のブライトに微笑むと、もう一つ相談を持ちかける。
「それと、アムロと子供達の今後についても相談したい。」
「シャア!何を言って…!」
アムロがシャアに詰め寄るのを制するとシャアは話を続ける。
「ブライト艦長。今現在、アムロはどう言う扱いになっている?」
ブライトは膝の上で指を組むとアムロを見つめる。
「MIA、行方不明扱いです。」
ナナイとギュネイは「えっ」と声を上げる。
アムロも同じく驚いた目をブライトに向けた。
ブライトはアムロを見つめると話を続ける。
「もう、いい加減連邦から解放してやりたいと思ってな。連邦に戻ったらまた研究所行きになるか、最前線で戦い続ける事になる。15の時から縛られてきたんだ。もう自由になっても良かろう。」
アムロのその琥珀色の瞳が涙で潤む。
「ブライト…。」
「ならば新しい戸籍と住基IDが必要になるな…。」
シャアがナナイへ目配せをすると、突然後ろから声がかかる。
「アムロと子供達の戸籍と住基IDならあるぞ」
振り返ると、いつの間に入ってきたのか、白髪混じりの髪に黒い眼帯をした中年の男が立っていた。
「エド!?」
アムロが叫ぶと、ダイニングからライラとカイルが男の元へ駆け寄る。
「エドおじちゃま!!」
エドと呼ばれた男は屈み込むとライラをその胸に抱きしめ、頬にキスを贈る。
「おお!ライラ!久しぶりだな!元気にしとったか?」
「うん!」
そして、横に立つカイルの頭を撫ぜる。
「お!?カイルは少し背は伸びたか?」
その優しい微笑みにカイルも顔を綻ばせた。

「エドヴァルド・レイブン!?」
シャアの驚きの声に、エドヴァルドは立ち上がると軽く子供達の頭を撫で、シャアの元へと足を進める。
「お初にお目にかかります、シャア総帥。アナハイムエレクトロニクス社のエドヴァルド・レイブンです。」
にこやかに握手を求める手をシャアは驚きながらも握り返す。エドヴァルドは豪快に笑いながら握手を交わすと隣にいるカイルとシャアの顔を交互に見る。
「ははは。こうして並んでいるとカイルは本当に総帥にそっくりだな!」
「Mr.レイブン。アムロ達の戸籍と住基IDがあると言うのはどういう事か?」
シャアは戸惑いがちに尋ねながら、はたと気付く。
「まさか、アナハイムに居た時の偽造住基IDがまだ残っているのか!?」
エドヴァルドはニヤリと笑うと驚きに目をパチクリさせているアムロに目を向ける。
「住基IDどころかアムロはまだアナハイムエレクトロニクスの社員だぞ。」
「ええ!?でも退職届はきちんと出したよ!」
「ああ、出とったな。ワシは受理しとらんがな。」
「エド!?どういう事?」
「優秀なメカニック兼テストパイロットの退職をそんなに簡単に認める訳がなかろう?お前は休職扱いなだけで、今でもれっきとしたアナハイムエレクトロニクスのメカニックだ。」
「ええ!!」
アムロが叫ぶと、隣で聞いていたアルがクスクス笑いだす。
「と、言うことはアムロは戸籍上、まだ僕の奥さんって事だね。」
アナハイムエレクトロニクス社に入社する際、ライラの出産を控えていたアムロがシングルマザーでは周囲から疑われると言う事で、アムロとアルは夫婦として偽造IDを作成した。
その際、エドヴァルドは戸籍までも作成していたのだ。
「念には念をと思って戸籍も作っておいた。アムロ・R・ウォレスとしてな。」
「何!!?」
シャアは叫ぶとエドヴァルドを睨みつける。
「そんなもの今すぐ抹消して新たに私の妻としての戸籍を作ってやる!!」
シャアのその言葉にアムロが顔を真っ赤にして立ちすくむ。それに気付くとシャアはアムロの両肩を掴み、その瞳を見つめる。
「アムロ、順番が前後してしまったが今ここで言わせてくれ。」
シャアの真剣な瞳にアムロは息を止める。
「アムロ、生涯君を愛するとここに誓おう。どうか私の妻になってくれ。」
アムロはシャアのその言葉に一瞬呆気にとられたが、その意味を理解するとジワっと涙が溢れ出す。そして、シャアのその真剣なスカイブルーの瞳を見つめ返すと、コクリと頷き「yes」と返事をした。
シャアはアムロからの「yes」の回答に満面の笑みを浮かべると、アムロをその胸に掻き抱いた。
「ありがとう!アムロ!」
アムロもその逞しく、暖かい胸に顔を埋めた。
「ははは、アルフレッド、残念だったな。」
エドヴァルドがアルを見ながらウィンクする。
アルはクスリと笑いながら「こうなる事は分かってましたよ。」とため息まじりに答える。
作品名:Lovin' you after CCA 2 作家名:koyuho