9 巣立ち
ユリウスが買い物を終えてアパートに戻って来ると、目が覚めたガウン姿のアレクセイと、相変わらず険しい顔をしたアルラウネが対峙していた。
その異様に張り詰めた雰囲気にユリウスが一瞬怯む。
「…ただいま…」
彼女の小さな声に、2人が振り返る。
「ユリウス…悪い。ちょっと外して…隣の部屋へ行っててもらえないか?」
アレクセイが優しくユリウスの背中に手をやり、隣室へうながす。
「…でも…夕食の支度が…」
ユリウスはその異様に張り詰めた雰囲気に無駄な抵抗を試みるかのように、アレクセイに答える。
「いいから…。頼む」
アレクセイに押し切られ、仕方なくユリウスはキッチンに籠を置くと、ミーチャと共に、隣室へと下がった。
作品名:9 巣立ち 作家名:orangelatte