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34 Dinner2~それぞれの想い

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「イタッ!!」

ガッチャーン!!

「どうしました⁉」

突然の金属音を聞きつけ、リューバは調理室に飛び込んだ。
ユリアが午後から使用人を全て追い返したことを聞きつけた護衛役は、気配のある調理室周辺を窺っていたのだ。

「リューバ・・・なんでもないんだ、指先を切っちゃったあとちょっとよろけて鍋を落としてしまっただけ」

「指を?見せて・・・少し深いですね。手当てしましょう。」

リューバは手際よくあっという間に応急処置を施す。

「白くて小さな手だ・・・よし、これでいい」

「ありがとう・・・」

「もう今日は水仕事はしないほうがいい。スチェパンを呼び戻しましょう」

「・・・でも、もうほとんど下ごしらえしてあるから、後はオーブンにいれるだけのと・・・包んで茹でるのだけなんだ・・・」

そう言うと、少女はなにか懇願するかのように上目遣いで警護の女武人を見つめる。

「・・・なんですか?その顔は・・・もしや私に手伝えと?私の仕事はこのお屋敷の方々の警護です。本来の任務が疎かになるようなことは出来かねます!」

「だって・・・ターニャたちには頼みたくないんだ。やっぱりね、って顔されるのがオチだもの・・・せっかくここまで出来たからレオニードをびっくりさせたいんだ。だめ?リューバ、手順は教えるから!」

「・・・・・」

リューバは、その潤んだ碧の瞳から目を逸らすことができない自分がもどかしいのに、吸い込まれそうになるのを喰いとめる術がなく狼狽える。

―――なんだ・・・?えーい、面倒だ!

観念したように大きくため息を一つつくと、調理室の外へ向かっておもむろに叫ぶ。

「・・・・・セリョージャ!いるんだろ⁉加勢しろ!」