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永遠にともに〈グリプス編〉1

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アムロはクスリと笑うとシャアの顔を上げ、その唇にキスをする。
「シャア…貴方だけだ…。オレが側に居たいと思うのは貴方だけだ…。」
シャアはアムロの頭の後ろに手を回すと、そのままアムロの唇に己のものを重ね深く口付けた。
「アムロ…私にも君だけだ…君を愛している。」
2人は強く抱きしめ合い、お互いの熱を分かち合った。

1週間後、連邦の軍籍を取得したシャア達はサイド1にて連邦の要人、ブレックス准将との面会を果たし、反連邦組織エゥーゴに参加する事となる。



section2 出会い、そして再会


シャア・アズナブル率いる一行はエゥーゴのブレックス准将と共にヘンケン艦長が指揮するエゥーゴの旗艦“アーガマ”に待機していた。

「ブレックス准将。サイド7 グリーン・ノア2の諜報員 レコア少尉より通信入りました。
グリーン・ノア2にてティターンズによるガンダムタイプのモビルスーツ開発がされている模様。2日後に飛行テスト実施予定との事です。」
オペレーターの言葉にシャアが目を見開く。
「ガンダムだと!?」
「やはりあの噂は本当だったか…。」
「ブレックス准将、噂とは?」
「ティターンズがガンダムMK–Ⅱの開発を始めたとの噂だ。まさか既に完成していたとはな。クワトロ大尉…。」
「分かっています。ガンダムMK–Ⅱの偵察ですね。そして可能ならば奪取せよと。」
シャアは不敵な笑みを浮かべる。
「そうだ。よろしく頼む。」

シャアはブリーフィングルームにアポリー中尉とロベルト中尉を集め偵察の計画を説明する。
「今回の偵察は我々3人で行う。内部の諜報員からの手引きでグリーン・ノア2の工業ベイからコロニー内に潜入。私が内部偵察に工業エリアに入る。その間2人はリックディアスでグリーン・ノア1の外で待機。外部壁ガラス面から内部の状況を調査してくれ。」
「「了解です」」
「情報では明日、グリーン・ノア1でガンダムMK–Ⅱのテスト飛行が行われるらしい。データの収集及び可能ならば機体を奪取する。」
「グリーン・ノア1って居住エリアじゃないですか?ティターンズはそんなトコでMSのテスト飛行するんですか!?」
アポリーが呆れながら言う。
「らしいな。」
「ところで大佐…いえ大尉、アムロの奴は今回留守番ですか?」
ロベルトがシャアに確認する。
基本的にシャアは作戦にアムロを同行させる。しかし今回はこのブリーフィングにすら参加していない。
「ああ、アムロにとってガンダムは過去を彷彿とさせる機体だからな。冷静に行動出来る自信が無いそうだ。それに体調も思わしく無いのでな。」
「ああ…。アムロの奴地球圏に来てから体調悪そうですね。なんか頭痛がするとか言ってました。」
ロベルトが心配気にアムロのいる部屋に視線を向ける。
「ああ。精神的なものなのか過去の実験の後遺症なのか…今、アーネストとナナイに調べてもらっている。」
「そうですか…。」

シャアが私室に戻るとアムロがベッドの上で窓の外を見ていた。
「どうした?アムロ」
アムロはシャアに振り返ると「おかえり」と微笑む。
「何か気になる事でもあるのか?」
アムロは再び窓の外に視線を戻して呟く。
「グリーン・ノアの方向にララァみたいな気配を感じるんです。それに懐かしい気配が近付いて来る感じも…」
「ララァ?」
その名前にシャアが目を見開く。
「そんなに驚かないで、ララァ本人って訳じゃありません。似た気配…おそらくニュータイプの…。」
「グリーン・ノアにニュータイプがいるというのか?」
「多分。」
アムロは曖昧な言葉を使っているが確信している。
「それもとても力の強い…。僕よりも高い能力を持っていると思います。」
「君よりもだと!?」
「ええ」
アムロはそっと頷く。
シャアはアムロよりも高い能力を持っている存在がいる事に驚きを隠せない。
「そんなに驚く事はないでしょう?実際、ララァやハマーン様は僕よりも高い能力を持っています。僕の場合戦闘に特化しているから目に見えて分かりやすいだけで…。」
シャアは自嘲気味に話すアムロを胸に抱きしめる。
「そんなに自分を卑下するな。」
アムロはその暖かな胸に顔を埋めて「うん」と頷く。
「しかし、もう一つの懐かしい気配とは何だ?」
「う〜ん。よく分からないんですけど、なんだかそんな気がするんです。それより今回の作戦、本当に参加しなくて良いんですか?」
「今回は偵察だけだ。アポリー中尉とロベルト中尉がいれば大丈夫だ。」
「そうですか…、すみません。我が儘言って…。」
ガンダムMK–Ⅱの偵察作戦。自分にとってガンダムは特別な機体だ。亡き父、テム・レイが心血を注いで開発したモビルスーツ。その後継と言われるMK–Ⅱに興味が無い訳ではない。けれど、自分にとって1年戦争の象徴でもあるガンダムは懐かしさと共に多くの命を奪ったものでもある。大切な作戦中にその機体を見て冷静でいられる自信が無かった。


作戦当日、シャアはアポリーとロベルトを従えグリーン・ノア2に向かった。
潜入口である工業ベイに行く途中、強烈な気配を感じる。
『アムロ!?いや、ララァ・スン!?これか?アムロが言っていたニュータイプの気配とは』
その気配を強く感じる宙港に視線を向けると地球からのシャトルが入港していた。

そのシャトルにはかつてホワイトベースで艦長を務めたブライト・ノアが搭乗していた。
そして、そのブライトに会うためニュータイプ、カミーユ・ビダンが宙港を訪れていたのだ。


「アポリー、ロベルト作戦開始だ。私はこれからグリーン・ノア2の工業エリアに入る。2人は作戦通りグリーン・ノア1の外で待機!」
「「了解!」」
シャアがグリーン・ノア2の偵察を終え、リックディアスに戻るとアポリーからMK–Ⅱのテスト飛行を確認したと連絡が入る。
その場に向かうと何か様子がおかしい。ビルに倒れこむMK–Ⅱ03号機、そして人を踏みつぶそうとしているMK–Ⅱ02号機。するともう一機MK–Ⅱ01号機が現れ、02号機と交戦を始めた。
「様子がおかしいな」
「仲間割れですかね?」
するとシャア達にビームライフルで攻撃を仕掛けようとする02号機を01号機が邪魔をする。
「やめろ!ビームライフルなんか使うんじゃない!ここは僕たちの住んでいるコロニーなんだぞ!!」
01号機のパイロットが叫ぶ!
その時シャアはMK–Ⅱ 01号機から先ほど感じた気配を感じる。
『そうか!潜入時に感じた感覚はこのパイロットのものか!だとすれば奪取すべきはガンダムではなくこのパイロットか。いや、この状況。二兎を折った方が成功率が高そうだ!』
「アポリー!ロベルト!稼働中のMK–Ⅱを二機とも捕獲する!!」
「「了解!」」
《ガンダムMK–Ⅱのパイロット!その機体を渡してもらおう!!我々の目的はその機体だ。速やかに渡せば命は保証しよう!》
《そんな言葉信用できるか!!》
02号機のパイロットが叫ぶ。
《僕は信用します!!》
01号機のパイロットから意外な答えが返ってくる。
《しかし君もティターンズの兵士だろう?》
《違います!!僕はティターンズなんかじゃありません!!あなた達の味方です!!》
若い少年の声で01号機が答える。