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永遠にともに〈グリプス編〉1

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《01号機のパイロット。君を信用できるか?》
すると01号機が02号機を攻撃する。
《これで信用できますか!?》
01号機のパイロットは02号機のパイロットを脅してコックピットから降ろす。
「クワトロ大尉、あのパイロット信用できそうですね。」
「その様だな。アポリー」
01号機のパイロットは先ほど02号機に踏み潰されそうになっていた人物ともう1人、少女を02号機のコックピットに乗せるとロベルトのリックディアスと共に02号機の両脇を抱えてその場を離脱する。
「よし!撤退だ!!」
シャア達はMK–Ⅱ01号機、02号機の二機と01号機のパイロット。そしてあと2人を連れアーガマへと帰艦した。

「クワトロ大尉!作戦成功ですな。」
アーガマの艦橋でブレックス准将がシャアを労う。そして、01号機のパイロットカミーユ・ビダンが連れて来た人物、ブライト・ノアに向き合う。
先ほどMK–Ⅱ02号機に踏み潰されそうになっていた人物はブライト・ノアだった。敵襲に迎撃の指示を出したところ、ティターンズの兵士に生意気だと踏み潰されそうになっていたのだ。
「ようこそ!アーガマへ!ブライト艦長!まさかあなたを迎えるられる事になるとは!私がエゥーゴの代表、ブレックスです。」
「ブライト・ノアです。」
2人はしっかりと握手を交わす。
「こちらがアーガマの艦長ヘンケン・ベッケナー、そして隣が先ほどの作戦の指揮を取ったクワトロ・バジーナ大尉です。」
それぞれと握手を交わす。
クワトロと握手を交わした際、ブライトはクワトロの顔をじっと見つめる。
「あなたがあの作戦の立案も…?」
「そうです。何か?」
「いえ、以前戦った事のある敵を彷彿とさせるものだったので…。」
ブライトは意味ありげな視線をクワトロに送る。
「そうですか…」
シャアは不敵に笑うとそれ以上は何も言わなかった。
『流石はブライト・ノア。私の正体に感いたか?それにアムロが言っていた懐かしい気配とはおそらく彼の事だろうな…』
私室で待機している愛しい存在を思い微笑む。
そして、ブライトの隣に立つ少年。カミーユ・ビダンに視線を向ける。
「君がMK–Ⅱを操縦していたのか?民間人の様だが…。」
『この少年がアムロよりも高いニュータイプ能力を持っていると言うのか…。』
シャアはカミーユを見つめて思う。
「はい、カミーユ・ビダンです。16歳です。」
「まだスクールの学生か?その君がMK–Ⅱを操縦できたのか!?」
「はい。両親が開発に関わっていて、興味があって色々勉強していましたから。」
「まるで、かつてのアムロ・レイを見ている様でした。」
ブライトがカミーユを見つめて言う。
「あいつも元々は民間人でした。サイド7で敵の強襲があった時、さっきのカミーユ君の様にガンダムを操縦していきなりザク二機を倒したんです。」
「初めてでザク二機ですか…。流石はファーストニュータイプ、アムロ・レイですな!」
ヘンケンがヒューっと口笛を吹きながら感嘆する。
「ええ。しかし、まだ15だったあいつを状況が切迫していたとはいえ、無理矢理パイロットにしてしまった事は少し後悔しています。」
ブライトは目を伏せ溜め息まじりに言う。
「士官学校を出たわけでもない普通の少年を軍に引き入れ、怖いから嫌だと言うあいつをぶん殴って戦場に送り出していました。そして戦後も…。」
と言いかけて言葉を止める。
「ブライト艦長?」
「いや、すみません。昔の愚痴を…。」
「いやいや、ホワイトベースはアムロ・レイだけではなく殆どが新兵同然のクルーばかりだったと聞いています。その艦を指揮し生き延びたブライト艦長は尊敬に値する!」
ブレックス准将の言葉にブライトは首を横に振る。
「そんな、アムロがいなければサイド7を出てすぐに赤い彗星に沈められていましたよ。」
“赤い彗星”の名に周りの空気が緊張する。
「ははは。まぁともかくお疲れでしょう?食事を用意します。カミーユ君たちもこちらへ」
ヘンケンがブライトたちを連れ艦橋を出て行った。

「さすが、ブライト艦長。侮れんな。」
その場に残されたブレックス准将がクワトロに向かって言う。
「ええ。しかし彼の指揮するホワイトベースと戦った私だから言えます。彼がこのアーガマを指揮すればエゥーゴにとってこれほどの強みはない!」


その頃、アムロはドックに固定されたガンダムMK–Ⅱを見上げていた。
「ガンダム…MK–Ⅱ…。ふふ、黒いんだな。」
そのまま機体に額を当て目を閉じる。
「父さん…」
「ガンダムRX–78は君のお父上が開発責任者だったそうだな。」
アムロが振り向くといつの間に艦橋から降りてきたのかシャアが腰に手を当て佇んでいた。
「シャア…。」
シャアはアムロに近付きそっと肩に手を添える。
「ええ。俺を放ったらかして開発に勤しんでいましたよ。」
アムロは少し戯けてみせる。
「お父上を恨んでいるのか?」
「いえ、そんな事は…。ただ、少し寂しかったかな。でも…父さんのガンダムが俺の命を守ってくれた。今はそう思えます。」
泣き笑いを浮かべるアムロをそっと抱き寄せる。
「ちょっ!!こんなトコでダメです!誰が見てるか分からないでしょう!?」
慌てて逃げるアムロに少し笑いが込み上げる。
「私は誰に見られても一向に構わんが」
「俺は構います!!」
顔を真っ赤にするアムロが可愛くてもっとからかいたかったがメカニックチーフのアストナージが現れたので我慢する。
「あ!クワトロ大尉良いところに!」
「どうした?アストナージ」
「MK–Ⅱの整備が完了したんでテスト飛行をお願いしたいんですが」
「二機ともか?」
「ハイ!」
シャアはアムロを見つめる。
「ではアムロ、君にも付き合ってもらおう」
驚くアムロにアストナージが興奮した声で叫ぶ。
「アムロ中尉も乗ってくれるんですか!?」
あのアムロ・レイがガンダムを操縦すると聞き、興奮が抑えられないようだ。
「すぐに準備します!!」
アストナージは準備の為、慌てて走り去っていく。
「シャア…」
アムロが困った顔を向ける。
「興味はあるだろう?もう一度君がガンダムを駆る姿を見てみたい。」
シャアにそう言われてしまえば断る事もできず頷くしかなかった。

「ガンダムMK–Ⅱ 01号機 クワトロ・バジーナ出る!」
「ガンダムMK–Ⅱ 02号機 出ます。」
二機のガンダムMK–Ⅱがアーガマの周りを飛行する。
《どうだアムロ?MK–Ⅱの乗り心地は?》
《スラスター強化が功を奏している様ですね。加速性能は悪くないです。ただ、急旋回に問題があります。小回りが利かないと言うか…この辺りはリックディアスの方が優れています。》
《同感だ!しかしなかなか操縦性に優れている。ティターンズの技術者もなかなかなものだ。》
2人は急旋回、急降下を繰り返し機動性を調べていく。
その光景を艦橋で見ていたブライトが窓に駆け寄って叫ぶ。
「あのMK–Ⅱ02号機を操縦しているパイロットは誰ですか!?」
かつての共に戦った戦友を思わせる操縦にブライトが驚愕する。

テスト飛行を終えた2人がヘンケンからの命令を受け、艦橋へと上がる。