49 すずらんの微笑み
「ラヴロフはこっち持ってちょうだい!あら、重いから取りあえずマットは外していくわよ。3階までね、足元気を付けて~!」
「ぼく一人のベッド!?うわーい!」
一週間ほど前、アレクセイの無事脱獄の報で支部が湧きたつ中、ジーナとブーニンの会話。
「ユリアの家、ベッドが一つしかないのよね~この前ミハイルとその話になってー」
「・・・それが?」
「だから、今までは息子と二人で事足りたけど・・・シベリアから、狼さんが帰って来たら~?」
「!?そっかぁ、それはお気の毒~んじゃあ、うちらからのご帰還祝いってことで~?」
果たして、ジーナの実家に眠っていた古いベッドが、おんぼろアパートの三階に運ばれることになったのだった。
作品名:49 すずらんの微笑み 作家名:orangelatte