二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

同調率99%の少女(13) - 鎮守府Aの物語

INDEX|4ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 

--- 2 平穏な初日



 鎮守府に一番近いコンビニで昼食を買って川内と神通は鎮守府の艦娘待機室へと戻ってきた。するとそこには先ほどいなかった村雨がおり、夕立と不知火に何かを伝えていた。

「……というわけよ。二人とも大丈夫?」
「はい。問題ないです。」
「はーい。おっけーおっけーっぽい〜」

 村雨は二通りの反応を目にして、最後の夕立に対しては額を抑えて再度言った。
「ゆう……本当にあなた大丈夫なのね?」
「え〜なんで疑うの〜?」片方の頬をふくらませて不満げに夕立は反論する。
「返事くらいちゃんとしてよぉ。旗艦としてはあなたの反応不安になっちゃうのよ。」
「あたしちゃんと返事したんだけどな〜。」
「はぁ。さみや時雨の苦労がなんとなくわかった気がするわ……。」
 今回初めて旗艦を務めることになる村雨は、よく旗艦を務める五月雨や時雨の苦労を実感できた。そんな苦労は知らんとばかりに爛漫に振る舞う、頭を悩ませている張本人たる夕立は村雨の悄気げる態度をケラケラと笑うのみである。

 川内と神通は3人が話していることはよく聞こえなかったが、村雨の仕草だけは分かった。なんとなく苦労していると。
「村雨ちゃんだっけ? こんちはー、どうしたの?」
「あ、川内さん。こんにちは〜。私今回初めて旗艦務めるんですけど、メンバーをまとめるのって大変だなぁ〜って思いましてぇ。」

「あ〜、あたしたちまだ艦娘になったばかりで知ったような口聞いちゃうけど、なみえさんが生徒会長やったりするようなもん?」
 川内の例えを村雨は理解できた様子で、頷いて肯定した。

「まぁ、出撃頑張ってね。3人だけなんでしょ?」
「はい。それでは行ってきますぅ〜」
 那珂とはまた違うタイプの気さくであっけらかんとした性格の川内の言葉に、村雨はニコッとはにかみながら言葉を返し、夕立と不知火を引き連れて待機室を出て行った。
 村雨たちが部屋を出る前に川内が聞きだしたところによると、鎮守府Aの担当海域の外れにある湾内に、海に付きだした形で存在する公園、そこから見える範囲に最近深海凄艦らしき影が確認されたという。偵察任務メインの出撃とのこと。
 説明を聞いて、部屋を出て行く3人の背中を見ていた川内と神通はどちらともなしにため息を漏らして今の気持ちを吐き出した。

「出撃、いいなぁ〜。早く外に出て戦ってみたいなぁ〜。」
「わ、私も……いつか戦っても平気なようにしたいです。不知火さんたちに笑われたく……ない。」
「うん。そうだね。二人で訓練頑張ろうね、神通。」
「はい。」


--

 三人がいなくなり、待機室には川内と神通の二人だけになった。買ってきた昼食をテーブルに置き、 (主に川内が一方的に)おしゃべりしながら食べ始めた。
 口を二通りの目的で動かす川内と食べるためだけに動かす神通。神通は川内の話す内容を口を挟まず食べながら聞いている。川内の繰り出す話題はゲームだのアニメだのフィギュアの工作だの、およそ一般的な女子高生らしからぬ内容だったため、正直なところ神通にはサッパリであった。ただ一つ、工作物に関しては若干の興味を示すものの、それでも口を挟まず、ただ眉と目をわずかばかり反応させて相槌を打つのみである。
 ひとしきり話して満足したのか、川内はクライマックスとばかりにスポーツドリンクをゴクゴクと喉を鳴らして豪快に飲み干して食事を終えた。男子高校生さながらの仕草である。川内の食事は始めてから10分程で終わっていた。

「ぷはーっ!はー、ごちそうさまでした。」
「……川内さん、食べるの早いです。喋りながら……なんで早いんですか?」
「えっ、そうかな?あたし普通に食べてるだけなんだけどなぁ。」

 川内は椅子の背もたれに思い切り体重をかけてふんぞり返って言葉を返す。対する神通はまだ食事が終わっていない。彼女はチョビチョビと少量ずつ食べているためだ。川内から見るとイラッとするほどスローペースな食べ方だが、世間的には一般的な女子高生の食べ方の範疇で、さらに言えば大和撫子!と言いたくなるほどの上品な食べ方であった。

「てか神通の食べ方がノロノロすぎるんだよ。もっとサクッと食べなよ。」
「……食事は、その人の素が出る行為の一つです。どんな時でも恥ずかしくないようにしろと、ママから教わっているので……。」
 川内にしとやかに語る神通は再び食べ物を口に運び始めた。川内はその様をボケ〜っと眺めることにした。6〜7分ほど経ってようやく神通の食事が終わった。

「……ごちそうさまでした。」
「神通さぁ、普段のお昼間に合ってる?」
「? はい。普段は和子ちゃんと一緒なので、お互い同じくらいですが。」きょとんとした表情で答える神通。
「あぁ……まいいや。」
 和子と聞いて、似たもの同士なら気にならんだろうとなんとなく理解した川内はそれ以上ツッコむのをやめた。