65 脱出3~再会
「アレクセイ…ただいま」
「お帰り…ユリウス」
長椅子に並んでかけたまましばらく抱き合ってお互いの温もりを確かめ合う。
アレクセイが、短くなった彼女の金の巻き毛に手を伸ばす。
「…おかしい?」
―逃げる時に…どうしても邪魔になって切ってしまったの。
髪を撫でられたユリウスが上目遣いで夫を窺う。
「帰って来て…長椅子で寝ているお前の姿を見て…天使が眠っているのかと思った。…変なものか。可愛いよ」
アレクセイがユリウスの金の頭に大きな手を添え、引き寄せるとそっと口づけた。
「じゃあ…、俺はミーチャを迎えに行ってくる」
アレクセイが長椅子から立ち上がる。
「待って…ぼくも行く」
一緒に立ちかけたユリウスの両肩を、アレクセイはそっと押さえて彼女を長椅子にかけさせる。
「いいよ。お前はここで待ってろ」
そう言うとアレクセイはユリウスのこめかみに口づけた。
作品名:65 脱出3~再会 作家名:orangelatte