69 エデンの庭
「一体!―どうされたんですか?!お二人ともびしょ濡れで…」
オークネフが戻って来た二人の姿に目を丸くした。
「あぁ、汗をかいたから…ちょっと水浴びしただけだ。おばあさまは?」
「ここにおりますよ。あらあら…何ですかぇ?二人とも、びしょ濡れで」
大階段からゆったりとヴァシリーサが降りて来た。
「おばあさま。今日はお暇致します。また参ります。…今日はこんななので、ハグは遠慮させていただきます」
茶目っ気たっぷりに碧の瞳を輝かせてミーチャがヴァシリーサに暇を告げる。
「はいはい…。あなたのそういう表情は…ユリウスにそっくりですねぇ」
―それでは、気をつけて帰るのですよ。今日は、ありがとう。
玄関先で、ヴァシリーサとオークネフが、このそっくりな父子を見送った。
作品名:69 エデンの庭 作家名:orangelatte