69 エデンの庭
「あ~、つっかれた~。こんなしがないオカマが国の政治の中枢で奔走することになるんだから…世の中って分かんないわよね~」
新ミハイロフ邸―、そして今は臨時の支部事務局となっているその屋敷に、会合のために数日間出張していたブーニンが戻って来た。
やれやれと言った顔で、首をグルグル回しながら肩を揉み解している。
「お疲れ、ブーニン」
「疲れたわよ~。あ!フレッシュハーブティ、頂こうかしら」
カップから立ち上るハーブティの芳香を吸い込みうっとりと目を細めているブーニンの傍らにアレクセイがやって来る。
「お疲れ、ブーニン」
「あら。ありがと。アレクセイもお疲れ。―みんなから聞いたわよ。ユリア、無事帰って来たんですって?」
― よかったわね。私も安心したわ。…私も近日中に彼女見舞いに行ってもいいかしら?
ブーニンが空いてる片手でアレクセイの二の腕をポンと叩く。
「それなんだが…。ブーニン、ちょっと頼まれてくれないか?」
― 実は…。
アレクセイが言いにくそうに口ごもりながら、ブーニンに話を切り出した。
作品名:69 エデンの庭 作家名:orangelatte