69 エデンの庭
― コンコン。
アパートのドアをノックする音にユリウスが
「どなたですか?」
とドアの外に問いかける。
「私よ。ブーニン!」
懐かしい元同僚の声にユリアがドアを開ける。
「ユリア~~~」
「ブーニンさん!」
― 無事でよかったわぁ。…心配したのよ。
暫く二人は玄関先でヒシと抱き合う。
一頻り互いの温もりを確かめた後で、ブーニンがユリウスの頭に巻かれたプラトークに目を止める。
「どうしたの?これ」
「あ!」
ユリウスが答える間も、そしてそのプラトークを押さえる間もなく、ブーニンの右手がそれをはぎ取った。
聞いてはいたけれど…。プラトークの下から露わになったユリウスの金の巻き毛におおわれた小さな頭。
突然プラトークをはぎ取られユリウスは俯いて、所在なげに髪に手をやる。
「あらら、ひどい頭しちゃって…」
そんなユリウスの頭の上にブーニンの声が降って来る。
ビックリした顔で見上げたユリウスに、
「自分で切ったのですって?私が手直ししてあげるわ」
― ちょっとドレッサーを拝借。
そういうとユリウスの手を引いてブーニンはズカズカと部屋の中へ入って行った。
作品名:69 エデンの庭 作家名:orangelatte