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銀河伝説 (新たなる旅立ちの後) Ⅰ

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  「お帰りなさい!」

パトロール艇を降りてきた進と相原の姿を見つけてユキが駆け寄る。

  「ただいま。」(進)
  「僕もただいまって言っていいんですか?」

相原がおどけてみせる。

  「やだ、ただいまって言っていいのよ?お疲れ様でした。」

ユキは仕事を終えて迎えに来ているので私服。

  「相原、丘に行くが一緒に行くか?」(進)

宇宙から戻ってくると真っ先に向かう場所…それは亡くなったクルー達が眠る英雄の丘。

  「ご一緒していいんですか?」(相原)
  「私エアカーで来てるから一緒に行きましょう?」

ユキがキーを進に渡す。

  「なに遠慮してんだよ。一緒に行こう。」

ユキが駐車場の場所を知っているので少し前を歩いて3人はゲートを後にした。














  「しっかしパトロール艇じゃ何も出来ませんって!」

お酒が入ると相原は饒舌になる。

  「報告するだけで戦うことできませんからね!宇宙海賊がでても何もできないんです!
   艦載機レベルとは言いませんが少し攻撃できる程度の武器を搭載して欲しいです!」

確かにパトロール艇は本当にパトロール程度だ。

  「腕の悪いパイロットにだといい的になりかねません。ユキさん、真田さんに一言
   "シームレスパトロール艇を作ってください"ってお願いします。シームレスだったら
   レーダー感知されにくいからパトロールしやすいし!」

進とユキは"なるほど"と思って聞いている。

  「コスモハウンドまでいくと扱いにくそうだし難しいな。」

進も相原の意見に賛成気味。

  「略奪とか起きて小惑星帯が無法地帯にならないように今からちゃんとしておかないと
   大変なことになると思いますよ?」

そう言って相原はビールを一気に飲んだ。















  「「ただいま。」」

ふたりは官舎に戻ってきた。もちろん相原を寮に送り届けたあと。

  「相原くん、よく見てるわね。」(ユキ)
  「2人しかいないからやること多すぎてあっちもこっちも気になるんだろうな。
   もう少ししたら3人体勢になるから休憩の時間もう少し取れるようになると思うが。」

進もさすがに疲れた様子。何時間も飛び続けパトロール艇の中では時間を見計らって休憩を取り基地やコロニーで仮眠を取ってまた飛ぶ。民間の宇宙船も増え国籍不明の船がないか小惑星帯にあやしい船はないか…とにかく忙しい5日間だった。

  「護衛艦の方が楽だったな。」

人をまとめるのは大変だが代わりがいる。ゆっくり眠る時間がありしっかり休憩も取れる。

  「人使いが荒いのは今始まったことじゃないけど。」

進がそう言いながら汚れものをランドリーに入れてスイッチを押す。

  「ユキ…ただいま。」

進はそう言うとユキをそっと抱きしめて柔らかい髪の香りを嗅ぐ

  「本物のユキだ。迎えに来てくれた瞬間にこうやって抱きしめたかった。」

ユキもそっと進の背中に手を回す

  「私も…ぎゅっとして欲しかった。」

士官服を通して進の体温がユキに届く

  「あったかい。」

ユキのその一言で進は強くユキを抱きしめた。






















  「あれ?」

朝起きて進がコーヒーを淹れようと準備を始めたとき"おかしい"と感じた。キッチンの様子が進が出かけた時と変わっていないのだ。もともと生活感のない部屋だったがまるでモデルルームのようなそんな感じだった。

  (ひょっとしてユキは女子寮に戻ってるのか?)

進はまだこの部屋にひとりで寝たことがないがユキだって出張がある。その時この広い部屋に一人になるのだ。独身寮はベッドにデスクのみというホテルのシングルの部屋より狭い。さすがにこの広さでひとりはさみしいかもと思ってしまった。

進はそんなことを思いながらコーヒーマシンのスイッチを入れて一度お湯を通してからコーヒーをセットした。そして昨日モールで購入した食材を並べ準備が出来たところでユキを起こしにベッドルームへ向かった。