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銀河伝説 (新たなる旅立ちの後) Ⅰ

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  「森さん…大丈夫ですか?」

北野がユキに聞いた。

  「大丈夫よ…本当に頭に血が上りやすいタイプね。血圧大丈夫かしら。」

看護士は言う事が違うと北野と太助は思った。

  「別れ話…こじれちゃったの?」(ユキ)
  「いえ…さすがに太助と向こうも友達が一緒だったのでその時は感情的にならず
   納得したように見えたんですけど…納得してなかったってことですよね?」(北野)
  「どうも私が北野くんを誘惑したと思ったみたい。どう考えたらそうなるか分から
   ないンだけど…。吉岡さんは訓練生の間でモテてるの?」(ユキ)
  「あの見た目ですからね…」(太助)
  「やっぱり。自信たっぷりだもの。あの行動力が違う方に働けばいいのにね。」

ユキが深いため息をつく

  「すみません、森さんにご迷惑おかけして…」

改めて北野が頭を下げる…となぜか太助も一緒に頭を下げた

  「いいのよ。私は何とも思ってないわ。だって吉岡さんの大いなる勘違いでしょう?
   でも北野くん?ダメよ?ちゃんと人をみてお付き合いしないと。」

ユキも釘を刺すことを忘れない。

  「はい…」

ユキは北野と太助に戻るよう伝え時計を確認する

  「せっかくのお昼休憩が終わっちゃったわ。」

そうつぶやくとトレイを持って食堂を後にした。














  「大変だったんだって?」

進が官舎に戻ってきてただいまの前に一言そう言った。進は3日間パトロール艇で飛びっぱなしで今日地球へ帰還した。

  「あら耳が早いわね。珍しい。」

すこしおどけてみせるユキに進の顔は真剣だ。

  「殴られそうになったって…。」(進)
  「叩かれそうになっただけよ。相手は訓練生で…女性だし。全然大丈夫よ。」(ユキ)
  「そうかもしれないけど…」(進)
  「ありがとう…心配してくれて。ホントの事言うとちょっと怖かったかな。
   感情的になる女性って私も苦手で…その代表選手が母なんだけど…」

ユキの言葉に進は"あぁ"という顔をして少し笑ってしまった。

  「でも母は家族だからあんなふうになっちゃうと思う。他人にはそんなにならないわ。
   だけど…あんな風に正直に気持ちを表に出せる吉岡さんの事…ちょっと羨ましいって
   思っちゃった。傍から見たらただのダダっこなんだけどね。」

ユキは自分の夢のために必死になって勉強してきた。周りから何を言われてもブレず前だけを見て進んできた。

  「まぁそれがまかり通って来ちゃったからダダっこなんでしょうけれど。」
  「危ないことしないでくれな。それでなくても…」(進)
  「真田さんがいないから…でしょう?」

進が黙って頷く

  「相手は訓練生だし私達の頃より余裕があるだろうけれどそれなりに忙しいはず。
   それに今回のこと、多分学校に話がいってるはずだから…。私は何も言ってない
   けど訓練生が軍の食堂で立ち回りしたなんてすぐに伝わるだろうし。」

ユキはそう言いながら進の汚れものをランドリーに入れてスイッチを押す

  「でもね黙ってたらカワイイ子で…このかわいさで何もかも許されてきたんだろう
   って思っちゃった。」

ユキの言葉に進は

  (ユキだってにっこり笑ってればそうなのに)

と思ったことは敢えて言葉にしない。

  「一度失敗できない航海に出てみると人生観変わると思うけどね。」

そう言いきった笑顔は進だけに向けられる笑顔だ

  「命をかけた航海で自分の命に代えてもいい人と出会えた私は本当に幸せ…」





進は思わずその細い体を抱きしめた